ハルネに入っているとんかつ屋さん。
本店は箱根の強羅にある人気店です。
小田原といえば、箱根温泉への行き帰りにお昼をいただく中継地。
歴史的にもけっして安い街ではないから、きっと城下をくまなく歩けば、それっぽいお店も見つかるのでしょうが、我々観光客は手近な駅周辺でやっつけてしまうことが多いと思います。
一番人気は駅ビルの「魚國」でしょうか? 爺婆がいつも行列しているので、未だ入れたことがありませんよ。
そして、すっかり綺麗になった地下街のハルネも飲食や買い物には良きスポットだと思います。ちなみに、こちらにも「魚國」の居酒屋が入っているのをお忘れなく。メニューは若干異なりますが、駅ビルのお店よか入店しやすい印象です。
魚國はさておき、ハルネには強羅の大行列店も出店しており、目玉の一つになっています。
週末の昼時などはやはり行列不可避ですが、それでも本店で列ぶよかだいぶマシなので、るるぶに載っているアレをどうしても食べてみたい方はこっちで済ましてしまうのも一案ですよ。
店内もまだまだ綺麗です。ただ、ゆったり長居する雰囲気ではなく、ヲバチャンたちの接客も忙しない点は覚悟しておいてくださいね。
メニューにはとんかつ類の他、地物を中心とした若干の海鮮やつまみも見えます。
おまかせ刺身盛り。
お魚は房総あたりのものも混じっていましたが、地場の鯵を中心に、決して悪くない内容です。
アジのなめろう丼はいまいちかな。
四角いシート状のものをペッタリ乗せた盛り付けもゲンナリするし、叩きすぎて、食感も味もぼやけてしまった印象です。
なお、後半、お茶漬けにでもできるよう、だし汁をつけてくれます。
また、ミニひょうたんのお漬物は面白いポイント。ぐぬぬ、猿めに日和おって!!
看板メニューの豆腐カツ煮定食です。
昭和の観光地にはまだまだワンチャン埋まっているんだぞという、夢が詰まった一品です。
ところで知ってた? ”銀かつ” ってのはこの豆腐カツのことじゃなかったんだね!
初代の田村さんが開店する際、屋号を受け継ぐ条件があって、先方の旅館 ”銀水” と社長の名字 ”勝又” を組み合わせたものなんだそうな。お店も元々は小料理屋さんだったのだけど、どうしてもとんかつ屋に間違われるから、もうしょうがねぇって流れらしい。不本意な名前に縛られつつも、良き方向に転がしていって、今日があるような経緯みたいです。
看板の豆腐カツは地元の老舗豆腐店「銀豆腐」のご主人と工夫しながら作りあげたお豆腐の中へ、甘辛なひき肉餡を詰めてフライにしたもの。
当初はカツとして出してあんまり売れなかったらしいのだけど、老人にも食べやすいよう煮込んでから大ヒットしたんだそうな。この辺にもドラマがあるよね。
ただ、ぶっちゃけ、これってどうなのか? 皆さん的にはアリなのか?
厚揚げ煮でもいいんじゃないか? むしろ、ヘルシー気取るなら、揚げずにそのまま煮込むべきじゃはないか的な疑問も拭えないですよ。
たしかに柔らかくて歯弱にも食べやすく、油も重くは感じません。万人に受け入れられるカツ煮のお味にも不満は出てこないでしょう。
しかし、豆腐のカツが旨いのかというと、疑問よ。世に牛豚鶏のカツレツ論争はあるかもしれません。しかし、そこに豆腐が割って入る事は決して無いもん。あくまで変化球、あくまでおもしろ創作メニュー。王道にはなりえない、まぁこういうのも食べられなくはないかなってカテゴリーのお料理です。
カツとして食べる場合は、豆腐の水分でベチャベチャになったり、お味が乗らなかったりもするのかも。でも、こんなふうにグッダグダに煮込まれる前提ならば、揚げの良し悪しも関係無し。 作り置きもできるし、提供のタイミングもシビアに問われません。原価的にもおいしいはずだから、まじ都合の良いメニューといえます。
はたして、街中のとんかつ店でこれを出して人気を得ることができたのか?
やはり、飲食の枯れた温泉地だからこそ、一見相手の話の種に食ってみよう商法が成り立つわけだし、背景として地場伝統の豆腐の存在や、お店のとんかつへのこだわりの無さもあるでしょう。
朝夕ごちそうを食べて、昼はなんぞヘルシーにしたいというような女老人のニーズとも噛み合っていますしね。狙いの有無にかかわらず、色んな要素が奇跡の如く結実した成功なんだなと思います。
コメント一覧