相生町の路地裏にある洋食店。
この地で復活をとげてから、初めて入るんじゃないかな。
いや、機会はずっと伺っていたんだけどさ。お昼時はいつも満員だから、余計な負担をかけたくないなと思っちゃって。
実直なお父さんと優しいお母さんの人柄でもって、常連さんを中心に、とても良いコミュニティが形成されているお店なのよ。もちろん、私のようなはみ出しも、暖かく迎えてくれるのだけど、ここはここのまま、そっとしておいたほうが良いのかなという気もするのです。
ただ、この先のことを考えると、あのチリバーグの味をもう一度刻んでおかねばならないなということで、食べてきました。
お昼のみの営業です。そうね、2時を過ぎるころにはちょっと落ち着いてくるかな。
ごまドレッシングのミニサラダ。
看板となるメキシカンチリバーグであります。
ぽってりとしたソースが独特なのよ。ベースは豆。いわゆるチリビーンズをアレンジしたものであるわけです。ソースとしてはやや野暮ったく、ピリリと効かせた辛味でもって締めるテイスト。
情報化や交通技術の発達で、今や世界の距離はだいぶ縮まりました。かつて文献や口伝で伝わった異国の味も、直輸入が珍しくなったこの時代。米国を経由して遠路旅してきた墨国の味が、日本の洋食キッチンで試行錯誤されて出来あがる、こういう味わいのものは、もはや生まれないんだろうなぁという感慨を味わうのです。
ソースの下にはきめ細やかに練られた、優しい味わいのハンバーグ。カリッと揚げたてのポテトにケチャップ味のパスタ。ホカホカのご飯もおいしくってさ。改めて、染みるお味です。
お母さんも「もうそろそろ」なんて言ってたけど、皆に心底惜しまれるお店になるだろうな。
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