とある寒い夜のこと。
なんだかゾワゾワして、夜半すぎまで寝付けなかった私なのです。
寝床でフーフー唸っているうちに、猛烈な水状下痢、吐き気、胃腸の痛みに襲われ、もう大変なことになりましたよ。
やけに身体が震えるなと思い、測ってみたら、39度近い熱もあるじゃんか・・・
教訓1 知らん食材に手を出すな!
先ごろ、近所にオープンした関西発の大手スーパーは、鮮魚コーナーが充実しており、他店ではあまり見かけないような商品がならぶこともあって面白いのです。
この日もお刺身用を2柵ほど購入して、夕食にいただいたのでした。
皆さんはシイラという魚をご存知でしょうか?
ハワイでいうところのマヒマヒで、フライやソテー等で食べたことはあったのですが、お刺身は初めてかな。安いしおいしそうだったので、つい手が伸びてしまったのです。
これがさ、体表に腸炎ビブリオ菌や表皮粘液毒を持つ、生食要注意の魚だったらしいんだわ!
この発症から2週間を遡っても、生ものや生焼け、高リスクの外食環境は他に思い当たらず、痛みが胃から腸へ降りてくる時間経過等を考えても、前夜の刺身にあたった可能性が濃厚なんだよね。
教訓2 コロナ下の病院は食中毒を診る余裕なんて無い!
このタイミングで最も恐れていたのは、コロナ感染ですよ。
発熱が分かると、家族に諸々の消毒や廃棄を指示して、自室に引き籠もる一方、鼻や喉はカラッカラだし、呼吸にも何ら異常はなく、医療用抗原検査も陰性に継ぐ陰性。
途中からなんか違うなとは感じておりましたが、2日経っても胃腸の不具合や高熱が続き、眠れもせず、ようよう動けん状態だったため、病院に診てもらった方が良いだろういうことになりました。
幸い、近所に発熱外来が見つかったのですが、予約の電話口で「実は食中毒の可能性が・・・」という話をする頭から、どうせコロナだろうから、素人の見立てなんてどうでもいいわよ的な、看護師嬢の殺気立つ対応なのよね。
とにかく、診てくれるということで、這うようにたどり着いだ病院では、院内には決して入ってくれるなと厳重注意を受け、裏口のスーパーハウスにてPCR検査を受けることになりました。
結果、これも陰性。
医師も人騒がせなっつー感じで「薬出しとくからね」と秒で帰ろうとするところ、いやいや、食中毒を診てほしくて来たんだよと引き止めたのだけどね。ひとしきり唸った後に「ここでは胃腸炎としか診断できない」とのこと。
食品衛生法では、食中毒が疑われる診療をした場合は直ちに保健所に届けなければならないルールがあるようなのです。しかし、リスクのわりに表面化する事例が少ないのは、集団で倒れるくらいでない限り、必ずしもこの報告が行われない事情があるようですね。
仮に食中毒であったとしても、解熱剤や整腸剤を出して様子を見るような対処は概ね変わらないようなので、現場の医院にとっては余計な手間が増えるだけなのでしょう。
今、思えば、ここで検便をしてもらうべきでした。
でも、下町での発熱外来で、皆が疲弊しきっているのはよくわかりましたし、私もヘロヘロな状態だったから、それ以上は要求できなかったのです。
教訓3 販売店舗は己が保身のために工作してくるぞ!
ベッドでうんうん苦しみつつも、スマホから販売店舗への問い合わせを行っておりました。
経緯や症状を報告しつつ、治療に役立つ情報提供を求めたのです。
先方のマニュアルなんでしょうけど、断っても断っても、とにかく直接電話をかけてきたいらしく、ウザイことこの上なしでしたね。
こちとらそれどころではない病状だし、菓子折り持って自宅に押しかけられてもかえって迷惑なので、文章での冷静なやり取りを希望したのですが、結果として、これは失敗だったのかもしれません。
結局、担当者どころか宛先のメアドすら明かされず、こちらからの連絡は毎回フォームからの送信。当初はテンプレ貼り付け文面ながら翌日に来ていた返事も、中一日、ニ日と着実に引き伸ばされるようになり、無為なやり取りにすっかり時間を浪費することになったのです。
販売店舗の責任を問うにあたり、まずはどこに問題があったのかを検証する必要があります。今回のケースでは、鮮魚担当者が商品のリスクを把握した上で適切に処理していたのかがポイントです。
これについて、繰り返し確認していたのですが、はぐらかされるばかりで、ついに明確な回答は得られませんでした。すなわち痛いところを突かれたのだと推察します。
そもそも、商品を安易に手に取った私自身も無知であったので、このミスは強く責められないし、多彩な商品を扱う際の注意事例として共有されればというスタンスだったのですが、こうした甘い配慮が先方を勘違いさせたのかもしれません。
店舗側はこの間に保健所へ独自の報告を行い、引き続き衛生管理に気をつけるよう言われただけで、特段の指導は受けなかったというお墨付きを得ました。
今回の商品は、販売数がとても少なかったらしく、私の他に食中毒の症状を訴える客が出なかったことが先方にとっては幸い。問題の商品は残っておりませんし、念入りに清掃した新築の作業場をチェックされても、問題は見つからないように手配は万全だったのでしょう。
要するに、体よく時間稼ぎをされたということなのです。
教訓4 食中毒疑いの際は、自分で保健所に連絡すること!
最終的に、販売店側は、商品と私の体調不良の因果を認めず、それを証明するのは保健所のみであるという返答をよこしました。
ここでも私は勘違いしていたのです。
保健所関連の届け出は店舗からの報告時点ですべて済んだものと考えておりましたが、それだけでは各発症者への調査はなされないようなのです。店舗からも購入者の詳細はあえて伝えなかったのでしょうし、私もコロナ禍で多忙な保健所へ、自ら駆け込む発想がありませんでした。
実は食中毒緊急通報ダイヤル等の市民向け窓口が設置されており、消費者から報告することで、聞き取り調査や検査等を保健所でやってくれるルートが存在するようなのです。
販売店舗は、それをもって食中毒であるかを証明してみろというのですよ。
発症して、すでに2週間が経った、この時点で!
そんなら、初めからそう言えよ、ラ○フのクソ野郎がっっ!!!
仕方なく、保健所側に事情を相談すると、改めて店舗への指導をしてくれて、検査も可能性はゼロではないのでやってみましょうと迅速に対応してくださったのですが、時はすでに遅し。
体調もだいぶ戻っておりましたし、検査では何も検出されず、ここで手詰まりとなりました。
教訓5 世知辛い世の中になりました
販売店舗側は ”丸魚には食中毒菌や毒・寄生虫がいることを前提に作成されたマニュアル” があり、現場の聞き取りから、それが間違いなく運用されたと主張します。
つまり、現場が各々の魚のリスクを知らないまま扱っても、商品になんら影響は無いと言いたいらしいのです。これは現実的ではありませんし、かの対面販売において、ものの数分程度で次々処理されていく様子を見るだけでも、マニュアルの厳重な運用は疑われます。
原因は菌なのか、毒なのか、虫なのか、その他なのかは特定できませんでしたが、実際、私はすり抜け発症をしているので、なんとも説得力に欠ける完璧万能対策に感じます。
ちなみに、問題特定の段階から協議がまるで進まなかったため、当方からは補償の要求もしておりませんでした。
最後に「貴店の完璧なマニュアルに則ると、どのような対応してくださるのだ」と聞いてみたところ、以下を、補償ではなく、あくまでお見舞いとしてくださるとのことでしたので、謹んでお断りした次第なのです。
①商品代金の返金 ②初診料の負担 ③些少な商品券
生きる価値のないデブとはいえ、まぁ安く見積もられたものですよ。医療費すら値切ってくる点は、さすが大坂商人の性根だなと感心しましたし、検査も薬も2回目以降の診療も認めないってことは、つまり詐病だって言ってるんだよな、おい、ふざけんなよ!!
かくして、私は完全に舐められ、悔しくも大敗を喫したケースになりました。
顧客に健康被害が出た時点で大事なはずですが、企業の対応も、我々の時代とは異なり、消費者に寄り添うスタンスではなくなっているようです。
自己防衛第一で隠蔽も厭わぬ中、共に検証して、対応をすり合わせていこうとする考えは甘く、まずは自ら証拠を固めた後に対するべきだったという教訓が残りました。
たださ、臥せった状態で、諸々対応や手配をしなければならない状況もしんどくて、もうどうでもいいから休んでいたい気分になったわよ。やり取りはしなきゃよかったわ。食中毒が概ね泣き寝入りに終わる状況も大いに理解できるのです。
折り悪く、倒れた直後に、福岡旅行を予定しており、キャンセル料も大枚払ったし、幸せに食べ歩くはずの日程は、ゼリーをすすりながら干からびて過ごすことになりました。
以上、食い意地故に散々な目にあった報告でした。私も気をつけていたつもりだったんだけど、これからの季節は食中毒も増えてくるので、皆さんもくれぐれもご注意くださいませ。
ライフでは、もう二度と買い物しないわ。
コメント一覧
恰幅さん、散々でしたね。コロナ禍の体調不良だけでも大変なのに、買ったものが原因なのでは?って誰に起きてもおかしくない話なのでこの展開はとても残念で怖く感じました。
ちなみにこの会社、本社勤務の者にも電話番号を明かしません。
ホワイト企業を自認してるそうですが、会社の姿勢に疑問に感じた事が何度もありますし、今回の話では非常に憤りをおぼえました。
そんな所に生活の多くを委ねたくはない、あの人達は言ってもわからないけど元従業員としてこの言葉を残しておきます。
>今回は匿名。。。さん
頭下げに来られるのも気の毒なのでお断りしたのですが、事故対応は顔を合わせてなんぼなところもあるのかも。
私のケースを担当したクソが本社勤務かは不明ですが、被害者を直に感じられないせいで、ことさら現実感の薄いやり取りになってしまったのかもしれません。
同様に、組織の肥大に伴う本社と現場の距離、認識のズレなんかも埋めがたきものなのでしょう。
該当店舗勤務者(他部門)です。心よりお詫び申し上げます。本当に申し訳ありません。
>匿名さん
お心遣い、ありがとうございます。
いい商品も多かったので、もう利用できないのが、ちょっと残念です。
私も類似の経験があります。去年の9月に旅先の札幌にある地場有名回転寿司店を出て、2時間程度経過して腹痛から始まり、下痢と嘔吐を繰り返しすごい発汗と熱発。
翌朝には収まりましたが念のためPCR検査して陰性。帰宅してからかかりつけ医に説明すると「急性胃腸炎でしょうね」と言われました。
「バラちらし」ならぬ「バラ軍艦」に原因物質が入っていたのでしょうか。おかげで昨年の9月の旅は強制終了となりました。
読ませて頂いて、外食時も生魚系は気をつけないと。と再認識しました。
>匿名さん
それはお気の毒に。
そっかー、自宅で発症しただけマシだったのかもね。旅先だったら大変なことになってたわ。
食い意地故、どうしても食べ慣れないものを試してみたくなってしまうから、マヂで気をつけないといけないね。
今はどこの企業でも似た様な対応でしょう
散々クレーマーだなんだ騒いだ弊害で
悪いのは悪質クレーマーであって
クレーム自体悪いことでは無いはずなのに。
社員もマニュアル以外の対応する権限がないのでしょう?
>匿名さん
そうなんだろうね。
スーパーは理不尽なクレーマーがわんさと押し寄せるのだろうから、対応をガチガチに固めていった結果、こんな事になったんだろうと思います。
今回も会社は守れましたが、アコギな真似で被害者を踏みにじったことは忘れないし、しっかり記録して、事例が積み重なる中で、いずれ応報するのかなと思いますよ。
関係ないですが、、、
本記事のコメント欄にある広告リンク先は危険なサイトのようです
>jincunさん
ごめんなさい。
広告はね、貼る場所も内容も全部グーグルおまかせになっているのよ。
一応、怪しげな分野は全部お断り設定にしているのだけど、すり抜けたのかも。
スーパーに珍しい魚の刺し身が売っていたら自分も手を出してしまいそうですね。恐ろしい話ですね。
>豚児さん
スーパーの商品の安全性を疑う習慣は、もはや無いもんな。
良い時代になりましたけど、消費者として無防備になってはいけないのかもね。
昨今は海水温が上がっていてアニサキスの危険も高まっているそうです。
寿司屋や和食店でも昔からのノウハウがもう通用しないとも言われているようです。
日本人の生食文化も細心の注意を払う必要が出てきているのかもしれません。
お見舞い申し上げます。引き続きお体お大事になさってください。
>匿名さん
ああ、なるほど。そういう背景もあるのか。よ
様々なリスクを技術や仕組みで乗り越えてきた生食の歴史でもありますし、安心してお刺身を食べられるようになるといいな。そのためには、まず課題と向き合う姿勢が大事だと思いますよ。
たいへんでしたね。1点確認させていただければ幸いです。
お刺身は、管理人さまお一人でめしあがったのでしょうか?
これがわかればより説得力があがるとおもいまして。
>タガナさん
切り分ける前に味見して、やや生臭みを感じたから、塩してしばらく置いた後、表面をよく洗って調理したのよ。端っこを中心に私が最も量を食べたので、それらが運命を分けたんじゃないかと思うんだけどね。わからんわ。