デブの脂ぎった本棚からレシピ本をご紹介するシリーズ。
今回はイタリアンです。
皆さんにぶっちゃけて聞きますよ。
レシピ本を買った後に、その中からいくつの料理を作ってみますか?
片っ端から試してみるという律儀な方もいらっしゃるでしょうが、実用されるレシピはそれほど多くないのが現実かなって思います。
作ってみたくなるかどうかという以前に、それぞれのご家庭のライフスタイル、食材や調理器具のご都合など、再現には様々なハードルがありますもんね。
こと名店シェフが出しているレシピ本は、たしかに美味しそうではあるのだけれど、いかにもレストランのお料理というか、お家の台所で作る気はしねぇようなハッタリ料理で飾られていることも多いです。
読者も歯ごたえのあるものを求めますし、お店の看板を背負う以上は格相応のものを提示しなければ格好がつかん事情も分かります。
その点、落合シェフの本は極めて実用的。
レシピの掲載数も30点未満で、コンパクトにまとめられています。
この目次だけ見ると、本格派の奥様は物足りなさを感じるかもね。「そんなのは知ってるわよ」って方も、是非一度、中を覗いてみてください。
この本は月次な入門書とはちょい違うのです。
家で作るイタリアンといえば、まぁパスタでしょうな!
世の中にはパスタ料理だけでも分厚い本が作れるくらい多彩なバリエーションがありますね。
でも、ご家庭のパスタって、わざわざレシピを見ながら仕上げるお料理というよりは、ありあわせで、ちゃちゃっとやっつける類のものなんじゃねーかって思うのね。
この本に載っているパスタも、特段珍しいものはありません。でも、これら基本のソースの調理法をしっかりマスターしておくことで、手元の素材へ広く応用することができるのです。
分量や手順だけでなく、調理の勘所を気さくに分かりやすく解説してあるのが、この本の最大のキモ。
読んでみると「なるほど、そうか」と思える記載がいくつもあって、手練た奥様も、改めて自分の料理を見直すきっかけになるんじゃないかと思います。
レシピを絞った分、工程の写真を丁寧に掲載できています。
火の通し具合や煮詰め具合など、文章や調理時間の目安だけでは分かりづらい鍋の中の変化を、きちんとビジュアルで確認できるのがイイですね。
昔の出版物と比べるとわかり易さは歴然よ。レシピ本の世界も着実に前へ進んでいるんだなと感じます。
前菜は主にドッレシングと合える系のシンプルなもの。メインはグリルが中心ということで、これもパッと見は物足りなく感じるかもしれませんね。
でも、パスタ同様に素材の扱いの基本を押さえれば、他ジャンルも含め、色々なお料理に応用できますから有用なのです。
特に肉や魚の火の通し方は、私もこの本を読んでレベルアップしたように感じます。鶏肉なんかは皮目パリッパリに焼けるからね!
デザートもオーブンがいらないから、とっつきやすいかも。
パーフェクトレシピというのは様々なお料理を網羅しているという意味ではありません。いくつかの核となる技術を習得させ、展開していく基礎を固めるという点で、タイトルは伊達じゃないなと感じるのよ。
オススメです。
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