音楽通りの入口にあるベーカリー。
大正創業の古いお店です。
市街地では希少な存在になっている、町の小さなパン屋さん。
往時のように現役バリバリというふうでもなく、店頭にならんでいるパンの数は決して多くはありません。お昼を越える頃には、棚が空いてることも珍しくないかもね。
種類に関してもほどほどに絞られておるわけですが、中には「おっ」と目を引くようなレトロ味をまとったものが混じっておりますよ。
横浜というよりは横須賀の片隅に生き残っているような類のパン文化に通じる内容です。
看板商品はシベリアです。
私が子供の頃は、まだそれほど珍しい存在ではなかったように記憶しています。でも、仕入れのあんこを包むだけのアンパンと違い、羊羹作らなきゃなんないから、めんどくさいのかな。パン屋さんが洋菓子も作る役割も減り、ケーキ類も焼かなくなったから、今や希少な存在になっていますよね。
それが近年の回顧ブームに乗っかって、メディア露出も増えました。シベリアを買えるお店といえば「コテイベーカリー」という評判を作れたことが、お店の存続にも少なからず影響しているのかなと想像します。
商品としても、他店のそれとは明らかに異なる特徴がありますよ。
デケェ!!
このずっしり。この横幅。デブがどんなに大口を開けても、両端を捉えることが難しいくらいのワイドレンジが、なかなかにキャッチーなルックスです。
厚みの分、羊羹の密度は薄く作られており、寒天的なブリッとした食感の小豆ゼリーのような風合い。挟むカステラも、垢抜けないパン屋さんのそれで、素朴な焼き香とややクチに残る舌触り。お味やバランスという部分においては、ベーシックというよか、こちら独自の路線を行くシベリアです。
甘食もレトロなアイコンになっておりますね。もっそりポッソリ、卵の香り。牛乳必須です。
個人的には、むしろサックリ焼ける食パンの方が好みかな。これは砕いたクルミが練りこまれたくるみ食パンですけど、やはり入れ過ぎじゃないかってくらいなとこがあり、好々爺な仮面の奥に思わぬ豪放が垣間見えたりするのです。
ちなみにごっそりとレーズンを混ぜたぶどう食パンが特に人気で、それから売れていきますね。
コメント一覧
正直言って、旨いか?と言われると微妙な印象です。でも、それは流行りとは違う味であり、ファンはそのノスタルジーを買いに来るのか、或いは、その時代の味を美味しく感じるのでしょう。
文化財的な存在ですね。
>つちころりさん
正直言って、旨いか?と問われると、私もどうかなぁと思います。
ただ、昔ながらの仕上がりだから時代に合わないのかというと、それもまた違うような気もするの。
レトロとひとくくりにはできない、こちらのお店の個性が隠れているのだと思います。