大手町にある沼津あんかけスパの総本山。
wikiによると1960年代に名古屋で生まれたというあんかけスパゲティ。それが、同じ東海区分とはいえ、200km以上も離れたこの沼津の地でソウルフードになっている謎なのです。
ネットには先代の言として沼津のあんかけスパは名古屋のそれとは絡まないオリジナルなのだという記載もありました。たしかにメニューにカルーソやマレンゴ、マテリシャーナといった古式イタリア洋食的なワードが散りばめられている点が名古屋式との違いであり、それなりのバックボーンを感じます。
でも、こんな奇異な食いもんが、異なる二箇所に自然発生するものなのか? 定番であるミラネーゼやカントリーのスタイルも偶然似るようなものでは無い気がしますし、東海道を経由した何らかの文化交流はあったのだろうと推察されます。
ただ、こちらのお店はHP等も持ちませんし、新聞や地元メディアが掘った形跡も見当たらず、その由来や歴史は霧の中なのです。
お店は元々「市川園」の向かい側にあったんだそうな。近年、移転して、今は駅前の目抜き通りに立地します。
とはいっても、沼津駅周辺の商業はほぼほぼ太陽が沈んだような状況で、コロナなんて関係なく、シャッターが下りまくる寒~い雰囲気なのよ。こちらの店頭だって決して流行っている風には見えませんよね。
店内はゆったりとして心地よく、きれいな環境です。でも、あえて目隠しするような構造で、フリのお客をいざなわないような独特の厭世も漂うの。ラブライブにも絡んでほしかったんだけどねぇ。
そして、開店時間を皮切りに、次々とやってくる地元民の姿に驚くわ! お前らはこの寂びた街のどこからわいてきたんだっつーくらいの老若男女で、店内はあっという間に活気が出てくるから、やはりご当地のソウルフードと言われるだけの格はありますね。沼津の人達もちょっと変わっててさ、推しはとことん推して、長行列もを厭わないような熱を感じるんだよ。
メニューを見ると、あんかけスパの具にこれほどバリエーションが必要なのかなって思うのだけど、聞き耳立てていると、みんなバラバラのオーダーをしており、そういうとこにも個々のこだわりや文化の根付きを感じます。
さて、今回、私が沼津に舞い戻ってきたきっかけは、このツイートなのよ!
エリックサウスのイナダさんが、こちらを日本一のあんかけスパ屋と絶賛してて、がぜん食べたくなっちゃったわけさ! ミーハーだから!
早速、ポークカツブールノアをいただきました!
ドイツなのか、フランスなのか、イタリアなのか、やっぱり日本なのか、さっぱり分からん!!
これも一応スパゲティメニューであり、カツの下にはシンプルな炒めスパが敷かれております。
シュニッツェル風の大きな薄揚げカツは、揚げたてサクサクで旨いのですよ。いうほど焦がしてはいないバターの風味とほのかなレモンのさっぱりも加わって、うん、言いたいことはよく分かった。確かにロストカルチャーの残り香がするよ。
ただ、どうして、この微妙にはっきりしないあんかけソースでもって、カツを食わねばならんのかは、さっぱりわからねぇ!! ブールノワゼットのソースだけでいいじゃないか? あんかけはいらんやろと!
せめて、味変のウスターがほしいとこですが、卓上にはタバスコと粉チーズ、おいがけ分の謎ハーブ筒しか置いてない強情です。しかたなくタバスコ味で食べ進めます。
つか、あらためて、私は沼津あんかけスパの魅力がさっぱりわからねぇわ。恐るべくは、あらゆる具材をこの謎ハーブソースで食わせようとしているとこだし、さらにいえばこれがスパに合うのかもビミョーに感じるの。
たとえば、安いケチャスパだとしても、これよか愛せるのではないかと思ってしまってさ。皆さんはどうですか?
やはり、ここが、幼少の頃からあんかけスパのエリート教育を施されてない浜っ子の限界であり、同じ日本の食においても、容易に越えられない文化の壁があることを示しているのです。さらにいえば、現代と古式の時の隔たりもあるかもしれないな。
とにかく、謎の詰まったメニューをいただき、旅の目的を達した次第です。
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