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京都・三条の「篠田屋」で皿盛、中華そば

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三条通にあるレトロ食堂。

俗に千年の都といわれる京都。

食の分野に於いて数百年続く老舗も珍しくない土地でありますが、価値ある技や品が長く残るという単純な話でもなく、宮中、寺社、花街なりの、太い供給先と共生する構造がキモなんだろうなと思います。

地域の古いものを大切に守る風土ではありますが、市井の小店については、我々の地元と同様に、景気の浮き沈みの影響や、跡継ぎに恵まれずにあっさり途絶えてしまうことも。そんな中には、消えてしまうのがあまりに惜しいお味や文化も混じっていますよね。

明治創業というこちらの食堂も一応、次代にはつながっているのですが、それでも爺さん婆さんの年代なので、立ち寄る度に、これが最後かもしれないなとしんみりしつつ、ここにしか無い味を記憶に刻んでいます。

タイル床の店内は、セピアを塗り上げたような古の食堂風景。近所の常連さんがひとり立ち寄って、しっとり食事をする風景へ、若者や我々みたいな旅行者の姿も交じるようになっているのが、一つの希望というか、価値あるものが地域に埋没しない情報化の象徴かなと思います。

中華そば。

これはまさに中華そばとしか言いようのない中華そばですよ。

たっぷり振られたコショー。シンプルな中にじんわり味わいのある鶏ガラスープに乗って、コシのある細麺がスルスル入っていくのよ。

また、この小ぶりな丼がいい。ちょっと一杯引っ掛ける感が粋なのです。 

麺の量はしっかり一人前入って、食べごたえあり。噛みしめる系の焼豚もたっぷり散らされて、このお値段でほんま大丈夫かいなと心配しちゃうほどよ。

ある意味、最も京都らしさを感じさせるラーメンです。

そして、忘れてはならぬのが、京阪社員のリクエストで生まれたというオリジナルメニューの皿盛。

いわゆるカツカレーなのですが、カレーがカレー南蛮用のあんかけになっているのが、おもしろき点。

せっかく来たので、中華そばも皿盛もどっちも食いたい! でも、私もすっかり老いたから、ダブルで食いきれるかと、ビクビクしつつ注文したのよ。一応、ご飯少なめをお願いしたんだけど、あんまり減ってないしさ。ドーンと出てきたときには、もうどうしようかと・・・・

でも、気がつくと、あっさりと食切っているのです!

改めて悟ったわ。これはカレーライス、ひいては和風カレーというカテゴリーではなくて、スパイシーなあんかけ料理なのだということを。

具は青ネギと若干の牛肉。色をみて分かるように、うどん出汁の比率が高く、ことさらなみなみと注がれる餡が、中年の胃を優しく保護するから、スルリと食えてしまうのです。やはり旨いわ。

どこのお店でも簡単に真似できるようで、できない。やはりあんかけの聖地たる京都でしか育まれない食べもんなんやと思います。揚げたてヘラヘラなカツもちゃうどいいし、まさに大衆食の文化遺産だと思うのよ。

コメント一覧

  1. bss より:

    中華そばを頂いたことがありますが、
    箸が乗った状態で出てくる辺りも、
    佇まいからして愛おしかったです。
    やはりボリュームを気にしてオーダーできませんでしたが、
    次は必ず皿盛たべます。
    早く京都に行きたい…。

    • 管理人 より:

      >bssさん
      我々旅行者は、頼まず後悔するよか、頼んでから後悔する方が良いのかもしれませんね。んで、わりと食えちゃうんだなぁ。

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