三吉橋側にあるそば処。
もちろん、前は何度となく通っているのに、
これまでまったく視野に入っていなかったお店。
商店街に3軒の蕎麦屋があるうち、
ことさら蕎麦にこだわったふうでもなく、
老舗でも、歌丸でもないため、これといった特徴がないんだよね。
ややすすぼけた感じ店頭には、
明けることのない夕暮れがまとわりついた感じ。
店内には老女将のセンスにより
鉢植えやら昭和の駄雑貨やらがまんべんなく配されており、
大衆店のカオスで気さくなインテリア空間を彩っているよ。
メインであるはずの蕎麦類のメニューは少なく、
むしろホワイトボードに記されたシンプルなツマミ類に動きがありそう。
入り口にとんかつやら煮魚定食やらの短冊が掲げられているところからも、
最近では定食屋や一杯飲み屋としての機能が大きいのかもしれないね。
まがりなりにも蕎麦屋に入ったのだから、
まずは天ざるあたりを頼むのが定石。
しかし、周囲を見回したところ、
冷奴やポテサラ(家で飲め!)、定食のおかず(飯を食え!)をアテに、
ただただビールをあおるジジィばかりで、まったく蕎麦の気配を感じないため、
私も主筋を外し、むし養いとしての丼方向へ舵を取ることにしたのだ。
ツユダク気味に煮込んだしっとりカツは
口にかっこむと、まさにお蕎麦屋のカツ丼じゃ~んといった風味が広がるよ。
この価格帯のカツ丼は、申し訳程度に入った薄肉より、
むしろツユをまとった衣の存在感で食わすものがほとんど。
でも、ここのは意外にも大判でそこそこの厚みのお肉を、
ちゃんと揚げたて調理してあったのはうれしい誤算だ。
特に華やかさは無いベーシックなお蕎麦屋丼だけど、
お店に受けた印象ほど、くたびれてはおらず、
まずまずの満足感を得たよ。
コメント一覧