横浜駅から高速バスに乗り、曇天の河口湖へと降り立つ一匹の豚。
そのまま富士急に乗っかって、2つ先の富士山駅へと向かいます。
今回の旅は富士吉田を拠点に、吉田のうどんをあれこれ食べてみようと思い立ったのよ!
そう! パッとしない汁に浸かった、やたらぶっとくて硬いアイツです!!
んで、失敗したわけ……
旅の起点となる富士急の駅ビル「Q-STA」は、メインゲートにハッタリで建てた鳥居に「魚民」の看板をならべてしまう不敬。中もガッチャガチャにひっかき集めた様子で、何の役にもたたん場所です。
そもそも、富士吉田に腰を落ちつけて街歩きをしたい需要が、どれほど存在するものなのか?
首都圏から設定された各交通路線を見る限り、大方の観光客は富士五湖や富士急ハイランドを目指すみたいなのです。せいぜい、その途上に、ちょいとうどんを引っ掛けに立ち寄るくらいなのか。
駅を降りてほどなく、富士山吉田口登山道の入口である金鳥居。
この通りは無電柱化もなされて、それなりに整備されてはいるのですが
…うん、なんも無ぇな。
かつては富士講に連なる登山者向けに、御師の街が形成されていたんだってさ。
そのいくつかは現在も稼働しているみたいなのだけど、やはり宗教を帯びる事情ゆえか、そのまま観光宿泊街には移行しなかったみたいなんだよね。一般の富士登山客が、ここらに泊まって云々という雰囲気ではなさそうでした。
観光の足も全く無いわけではありません。ただ、バスは概ね河口湖や山中湖、富士山との往復利用を想定しており、その実態は枯れた路線バスなのよ。
めったに来ないし、病院などにいらぬ寄り道をするし、そもそも市内の観光スポットを巡る視点では設計されてないから使いづらいのよ。
つまり、地場のうどん店巡りをするには、この風景の中をひたすら歩くしか無いってこと!
着いて以降、富士山はひとっつも見えねぇし、絶望の雨がシトシト振り始めました。
そんなこんなで、久々に訪れた北口本宮冨士浅間神社。
ここはやっぱスゲェわ!
巨木! 巨木!! 巨木!!!
エグいくらいの超巨木が、ご当地の長い歴史を物語っております。
本来はこの神社の脇から富士山へとどんどん登っていくルートなんだよね。
もちろん、御山に挑む根性も体力も無い私はクルリと引き返しましたけど!
金鳥居から、今度は坂を下っていくと、旧来の繁華街となります。
う…うん……そうか。
たしかに、こうして古い街並みを歩くのも旅の楽しみなのです。
でも、さすがに、さすがに、寂れすぎてて、うどんを食べてない時間をどう過ごしたら良いのか、見当がつかん富士吉田です。さっきから誰一人すれ違いませんし、屋外に生命の気配がありません。
せめて、富士山が拝めればな!
近代、この街は織物業で大変に栄えていたんだそうな。
まさにフジファブリック!
かつては多くの商人が仕入れに訪れ、すげー賑わっていたのだと書いてありました。
現在、かろうじて目につくのは制服取扱系のお店くらいでしたが、ほぼほぼ死滅した商店街の中に、衣料品店が比較的多く残っているのはそういう背景だったんだね。
また、散策してると、中で織機が動いてそうな工場もいくつか見かけました。
商店街の裏手には巨大歓楽街の廃墟。
アホか! いくら好景気に沸いていたとはいえ、地域のエロジジイ共は羽目を外しすぎだろうと、頭をはたきたくなるくらい、過剰な規模なのです。
今となってはただ巨大な抜け殻をさらすのみですが、これらが全てきらびやかに稼働していた時代があったのなら、それはそれで見てみたかったよなぁ。
めちゃくちゃに立派なお医者の家が残っていたので、思わず記念撮影よ。
産業は廃れても、病人は減らないんだな。
そのまま坂を下っていくと、小室浅間神社の鳥居が見えます。
いわゆる下浅間です。
こちらも歴史ある神社ですが、上浅間よりはだいぶ気さくに参拝できる環境。
流鏑馬が名物らしく、境内でお馬さんが飼育されていましたよ! 白馬!
土地柄、街には富士からの清水が、ダバダバと流れ落ちておるのです。
この水路を、もうちょい見栄え良く演出できないものなのか。
とにかく、なんもないので、道端のスズランをどうぞ。
夕方にほんの一瞬だけ顔を出す、いけずな富士山。
近くに寄ったからといって、いつでも富士が拝めると思ったら大間違いであることを知るのです。
山の天候はまさに気まぐれキャットよ。ハマのダニエル・グレイグと呼ばれたい私の来訪に、照れて顔を隠れてしまったんだろうねっっ!!
もう、やけっぱちよ!
夜、もちろん何もありません。
つか、夕食に吉田うどんが食えない訳が分からん!
最終日になり、やっとこさ晴れました!!
もっとも、綺麗に見えたのは朝のうちだけど、やはりこうでなくてはね。
我々日本人の魂に刻まれたこのフォルムよ。
実のところ、富士吉田の街は、折りたたみ自転車を買って巡ろうと計画していたのです。ちょっと漕げば湖にも出られるし、さぞ気持ちよかろうと。
でもさ、ここってば、富士山に向かって傾斜した街なのよ。つまりは全部が坂!
道路は人が歩いてない代わりに、一人一台な自動車がビュンビュンと走ってるし、必ずしものんびりサイクリングできる環境ではないかもしれんな。あっぶなーー
そんなこんなで、もう富士吉田には耐えられず、バスで30分弱の忍野八海へと逃げてきました。
心洗われる牧歌な風景。
たとえこれらが人工的に演出されたものであっても、ベタな観光地はやはり素晴らしいものだなと感慨を噛みしめたのです。
修学旅行の生徒たちもぼちぼちと戻ってきている様子。
コテコテなお土産屋さんや店頭でのビミョーな軽食販売もあるだけマシ!
中心部でえげつなき商売を繰り広げる池本すら愛おしく見えたわよ。
外食ステータスのほぼ全てを、うどんに振り分けた感のある富士吉田市。
他に何もないけど、うどん屋だけは、人口に釣り合わない数が営業している異様なのです。
なんなん? 市民は昼にうどん食わなきゃ捕まる条例でもあるの?
そして、どのうどん店もお昼の数時間しか営業してねぇし、ぶっというどんは1杯食べるだけでずっしりお腹にたまりまくるし、なんとも食べ歩き殺しな街でもありました。
ちなみに市内のグルメは「ふじよしだ観光振興サービス」のページが充実しており、こと、うどんに関しては詳細情報まで行き届いているので、とても参考になりますよ。
私の紹介記事も追々更新しますね。今回は3週分くらいの分量ですが、お楽しみに~
コメント一覧
富士吉田のディスり記事、ありがとうございます。
>富士吉田市民さん
リスペクト記事は市民の方におまかせします。
富士吉田、手垢にまみれない清廉さだからこそ大好きなんだ
うまいですよね、やっぱみうらが至高です
>横浜市民さん
今度は冷たいのを色々食べてみたいです。