港町横浜には、様々な異国の食文化が根付いているイメージを持たれている方が多いと思います。
実際に街を巡ってみると、中華やエスニックはともかくとして、西洋食については、不思議とその痕跡が薄いんだよね。神戸のように、めぼしい洋食店を挙げることが難しい街なのです。
もちろん、過去に何も無かったわけではありませんし、ここ2,30年の間に閉店したお店が多いのも事実。洋食に限らず、横浜のオフィス街や繁華街における飲食業は、戦後1、2代しか持続できなかったという構造上の問題があるのかもしれません。
今となっては、この「センターグリル」が観光にもオススメできる唯一の選択肢ともいえます。
ちなみに創業者がサリー・ワイルが経営する「センターホテル」で働いていたことから、この店名になったとのこと。でも、お料理については、仏国風ではなく、”米国風洋食”を謳っているのが、面白いんだよね。なんらかの経緯で進駐軍食の影響を強く受けているということなのか。それはどんなところなのか。数少ない横浜らしさのポイントでもあるので、関係者が健在なうちに深堀りが期待されるところであります。
「センターグリル」の定番メニューといえば、ナポリタン。
でも、昨今のブーム以前は、ことさら注視される存在ではありませんでしたよね。むしろ、中が白飯という、がっかりオムライスの方が、メディア露出の定番でありました。
なぜ、白飯なのか? この点も突っ込んでいくと面白いかもしれませんね。
今では同じくオムライスとしてくくられていますが、ライス入りオムレツや、ケチャップライスの薄焼き卵包とは異なる出自をもつメニューなのかもしれません。スクランブルエッグプレートのライス添え的な??
ただ、この白飯オムライスを地元民がみんなして頼んでいたかというと、うーん、どうだろうか。
もしかしたら個人的な偏愛がかかりまくっているかもしれませんが、センターグリルの永遠不動の定番メニューといえば、このスパランチでしょう!!
大阪における焼きそば定食のごとく、ケチャッピーで極太柔らかなスパゲティでもって、ライスを食わせようとする、この日本人独特の貧相な背徳行為! ロカボの神殺し!!
私はこのスパランチが好きすぎて、センターグリルのスパゲティといえば、ナポリタンよか、上にミートソースがちょろり乗るイタリアンの方が、それっぽい文化遺産に感じるのです。
さらに洋食的満足感の要である薄揚げサクサクのチキンカツ、おいしいポテサラまで添えられて、まさに死角無し、最高のワンプレートといえます。
ナポリタン云々で小さく騒いでる横浜の飲食店の奴らよ、真に普及すべき横浜の宝はこのスパランチだからな!! よく覚えておいてほしい!!
コメント一覧
すみません、私はこのメニューは頼みませんね。
ミーハーなんで(笑)。
>ぴーさんさん
えーーー、旨いのにぃ。
「たまには違うモノを…」
いつも思うのに、選ぶのは絶対スパランチ。
歳のせいで最近は「ライス半分で」になりましたが、身体的に叶うなら三人前くらい貪り食いたい。
しかし、確かに遠い昔、白飯オムライスを初めて食った時は衝撃でした。
自称『白飯原理主義者』も戸惑う白飯の使い方っつーか(笑)
店を何代も続けるって、ホント難しいと思います。
味を受け継ぎキープすること。
時代の変化と折り合いをつけること。
たとえばうまくいっていても、思わぬブームによるトラブルや家賃高騰や、社会情勢を乗り越えてゆくこと等…
『構造』という難しいことは私にはわかりませんが、やり方は色々にしても、何より、同じ着地点を目指せる家族経営は、やっぱり強いです。
どの店も、人を使ってはいても、その中の誰かが現場にいる、という点が欠かせないのかもしれませんが。
老舗洋食屋さんには比ぶべくもない弱小新参うちの店も、どちらかが倒れたらそこで終わり。
だから気楽ともいえるんですが。
>erimaさん
中華街の華僑も、子息には高等教育を受けさせて、飲食は継がせないような話はよく聞きますよね。
老舗の営業が続く背景には、お店や料理の価値だけではない、必然があるのかなと感じます。
これ美味しいですよね。
一つ一つのパーツの出来がいいと思います。
カツが熱々で、ポテサラがやたら美味しかったのを覚えています。
センターグリル近辺は昼にしか行ったことないですが、夜はあの辺はネオンと酔客だらけになってるのかな?
>きちさん
そうね、一つ一つが気が利いてるよね。
コロナ以降は夜の街を散歩することも減ってしまったけど、野毛やイセザキあたりは今どうなってるんだろう? 時短等、真面目に守ってるのかな?