嵐山にある「老松」の支店に併設された甘味処です。
一口に京都観光といっても、エリアごとにそれぞれ異なる性格がありますよね。
嵐山は、平安以来のレジャーな別荘地として中心部の気位とは切り離されているのか、安易に開発されやすい環境でもあるのか、歴史も、風情も、へったくれもないような観光ショップが建ち並ぶ風景です。
コロナが幕末以来の災厄として街を襲う今日このごろ。どこも観光客の激減が目に見えるような惨状でありましたよ。その中で比較的人っ気を感じたのが、そんな嵐山。
女性グループや、浴衣姿のカップル、若い家族連れなど、近県からと思しきお出かけの方々の足が、神社仏閣やハイカルチャーなスポットではなく、まず、こういうベタな場所に向かっているのが面白いところなのよ。再度、観光を立て直す際には、あんまり上や外ばかり見ない方が良さそうです。
ひとしきり散策を終えた後のお茶休憩で困る!
嵐山ってば、抹茶ソフト的食べ歩きフードや、軽薄な飲食店には事欠かないわけですが、わざわざ遠方から足を運びたくなるようなお店は、私の膨大な京都愛ブックマークの中にも見当たりません。
強いて挙げれば、桜餅か、この「老松」くらいなもの。なお「吉兆」には、財布をひっくり返して、一本づつ繊維を解いたとしても到底たどり着けない模様です。
驚くべきは、こんな時にも行列してたことよ。通りの大部分のお店がすっかすかなのにさ!
やはり、限られた消費行動においても、しっかりと選別が行われており、実のあるお店はそうそう揺るがないということなんでしょうね。まぁ、平時の混雑に比べれば全然なんだろうけどさ。
お店の奥の喫茶スペースは開放感があり、なかなか素敵な環境です。
この時はまだまだ暑うございましたので、かき氷が身に染みましたよ。
お味は夏みかん。たしか夏柑糖の蜜を使っているとか書いてあったかな。
今どきなスイーツ氷の手のこんだ豪華さはないのだけれど、ちゃんと和のあしらいが感じられるおいしい一杯でした。
名物という本わらび餅は注文後に練りたて、捻りたてを出してくれるのです。
なるほど、ドルンデロンと柔らかで、これもうちらの地元ではなかなかお目にかかれないような趣向ね。
ただ、微妙にヌルくて、もう一つコシに欠けるような気もして、とりたてておいしいもんではねぇな。もうちょい冷やせばよかったのかもだけど、5粒しか入ってねぇから、あれこれ試す余裕も無しよ。
これを気張るなら、生菓子セットの方が満足度高そうです。
「老松」の夏のお菓子といえば、夏みかんをまるごとくり抜いて作った夏柑糖が有名ですね。
残念ながら、すでに季節は終わり、グレープフルーツを使用した晩柑糖に切り替わっているタイミングでした。
それでも、おいしいわ。
果汁と寒天に砂糖を加えた単純なものですが、決して単純ではない仕上がりです。柑橘のキツさやエグさみたいな部分が上手いこと丸められて、切り出された風味と甘みの部分を品よく味わえるのです。
硬すぎず軟すぎずのサックリとした口当たりも良いですし、これはさすが。相応の価値ありだなと感じました。
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