紀州徳川家の祖である頼宣の招きで共に紀州に渡り、今は和歌山に本店を構える「駿河屋」
もともとは室町時代に伏見で生まれたお店なんだそうで、駅前にある伏見店は、総本家を冠して、別格の扱いになっているんだってさ。
我々は、羊羹と聞くと、まず「とらや」のそれを思い浮かべるのですが、戦時中の和生菓子特殊銘柄品には「駿河屋」の練羊羹のほうが選ばれてるんですよね。
なにせ、練羊羹の元祖とも言われるお店です。
羊羹というのは、その名の通り、もとは羊を使った中国料理らしいのね。それが日本の精進料理の中で、肉が小豆に代替され、いわゆる蒸し羊羹の原型ができていったんだって。
「駿河屋」でも、蒸し羊羹を秀吉に献上してたいそう喜ばれたという記録があるそうな。その後、江戸時代に、お店の五代目が寒天を用い、流し固める式の練羊羹を開発。今日の羹の基礎を築くという、まさに羊羹の歴史とともに歩んできたお店なのよ。
まぁ、先ごろ、倒産して、見事に躓いちゃったんだけどな!
商品を包む間に、お菓子のかけらとお茶を出してくれますよ。
もともとデパートなどで手広く展開していたお店だけに、店頭の商品も、いかにも贈答菓子のラインナップ。しかもメジャー展開してるタッチだから、正直、京都の老舗菓子店としての面白みはあんまり感じないんだよね。
ただ、伏見本舗では熟練の職人さんを多く抱えているようなので、生菓子や季節商品に、その片鱗が見えるのかもしれません。この時は、栗餅とか、わりと気さくなもんがならんでたけど。
せっかく覗いたので、羊羹を買ってきましたよ。
こちらの羊羹は大きく3種類。
まずは主力であるパック充填型の羊羹。そして、熟練の職人が昔ながらの製法で作るという古代伏見羊羹。それぞれに煉、小倉、栗の3味、ぶっといのからハーフサイズまでのバリエーションがあります。
さらに、曜日限定で、この日は買えなかったのですが、秀吉に献上した蒸し羊羹の復刻も出しているようですね。
いや、まてよ、さっきお茶につけてもらったのがそれっぽいな。包んで蒸したものらしく笹が香り、ムッチリ食感でなかなかおいしかったわ。
あとはおまけで貰った、金の本ノ字饅頭。やはりお店の推しである蒸し饅頭の延命版として、桃山仕立てになっています。一見、なんてこと無いものですが、薄い焼き皮がもっちり柔らかなとこが面白く、馬鹿にできません。
奥が煉羊羹ですが。、この紅色がなんとも素敵よね。
もとより自然の色ではなく、白小豆をベースに紅を加えているのだけれど、この飴がかった深い色合いが、他店とは違う歴史の積み重ねを感じさせます。
お味もおいしいです。豆のお味や風味よか、じっくり練った糖の甘香ばしさを感じさせるもの。しっかりねっとり甘いんだけど、後口はすっと消えるとこはさすがです。
通常の羊羹と古代式と、どう違うのか、店のヲバさんに聞いてみてもイマイチ答を得なかったのですが、型に流して固める分、表面に若干のシャリができるとこが特徴かもね。
こちらは小倉の羊羹にしてみましたが、わずかにぷりっとした寒天味を感じる気もします。比較的素朴で穏やかな味わいだったな。
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