享和三年創業の和菓子の老舗。
みなさんもご存知のように全国展開をしており、なんなら上大岡のごとき場末にまで出店しているので、わざわざ京都にやってきてまで「鶴屋吉信」は無ぇなと思ってしまいがちよね。
本店は堀川今出川の交差点にドーンと構えておりますので、車窓から見かけることも多いでしょう。
老舗が珍しくない京都の菓子店の中でも、商い規模の差をまざまざ見せつけるような大貫禄なのであります。
店内で扱う商品の大部分は、我々の見知ったもので、わざわざ・・・いや、やはり本店には詣でなければなりませんよ。
限定販売されている商品が、一味も二味も違う装いなんだわ。
本店冬季限定発売という松の寂が、クソかっこいい!
雪中松柏の景を写したお菓子なんだそうな。雪に見立てた真っ白なすり蜜の下に、大納言を散らした抹茶のすり琥珀。
いや、生菓子等が立派なのは重々承知なのだけど、デパート等に卸す商品とは、全く別の表情が、京都本店とその近隣市場に息づいているのが、よく分かります。見慣れた大手ののれんの奥にも、古来の儀式関連や注文品の深淵な世界が根付いているのだな。
そういえば、店内に展示してあった婚礼のお菓子もやたら重厚でさ、もう、それを頼みたい一心で結婚したいくらいよ!
ピッと角が立って、凛とした姿ですね。一見、抹茶チョコのようにも見えるといって怒られておきましょう。
琥珀糖というと、表面パリっと、中はプリッとしたお菓子ですが、こちらはすり琥珀へすり蜜をかけたもので、重めのシュリっとした歯ざわりが、雪を踏みしめる感覚にも似ております。
見た目だけでなく、お味も良いの。甘さの中にある抹茶の深い渋みが、また大人カッコイイ塩梅でさ。
いや、これは素晴らしいお菓子ですよ!
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