家族に渋られるから、一人で旅するしか無いシリーズ。
今回はあえて触れないでほしいオヤジギャクから始まります。
上野駅から、特急ときわに乗って約80分…
水戸駅にやってきました!
この度、茨城を訪れることで、神奈川隣接県に設定された県民割を一通り利用できた形なのですよ。
もうね、それだけで無駄に成し遂げた感がありますわ。
実は水戸を観光するのは初めて。
ただ、私は幼少の頃より「水戸黄門」の再放送を観まくって育っておりますから、御老公の出立地には淡い憧れを抱いておりましたよ。江戸の綱吉に犬の死骸を投げに来るのもしんどい距離じゃんか。
その後、安い人生を漫遊するうちに、夜な夜なお天気お姉さんの切り抜き動画を観て癒やされる寂しい中年に育ってしまった私ですが、ウェザーニュースの檜山沙耶さんの出身地でもある水戸なのです!!
そういえば、わりと長めな旅行をする際に安い連泊プランを検索すると、閑散期の札幌や仙台に混じって、水戸という候補が見えることがままありましたね。
でも、イマイチ気が乗らなかったのは、ぶっちゃけ、旨いものが無さそうだったから!
納豆とイモとスタミナラーメンかぁ……うーむ。
そりゃ都道府県魅力度ランキングの最下位常連にもなるわな。
御存知のように、水戸は茨城県の県庁所在地であり、県内第一の都市。
駅もだいぶ賑わっている印象なのですが、利用者数は何がある土地なのかさっぱりわからない取手、守谷に継ぐ第三位にとどまるらしく、やはり、昨今は首都圏への通勤できる県南部の方に活力が移ってきているのかもしれません。
駅正面に見える小高い丘に水戸城跡。
古い県庁舎や図書館、官公庁の建つエリアでもありますが、その大部分が学校の敷地として利用されている点は真面目かつ教育熱心な水戸らしさにも感じます。
立ち寄ったのは水戸城の三の丸に作られた弘道館。
幕末の名君として知られる九代藩主、徳川斉昭により設置された日本有数の藩校です。
ここはかろうじて戦火を逃れ、今も重要文化財として保存されておりました。
ちなみに「江戸を斬る」では、斉昭を森繁久彌が演じており、女中に産ませた娘が魚屋の棒手振として育ち、北辰一刀流を振るう紫頭巾となり、遠山の金さんの妻にもなってしまうというトンデモ設定でしたね。知らんか。
弘道館では儒学や歴史、武術や兵法の他、医術や自然科学、芸術など幅広く学ばれていたようです。
また、水戸学を背景にした尊王攘夷の思想を育んだ地でもあり、後の明治維新の礎となる人材を多数排出・・・する前に、テロや内乱を暴発させて、みんな死んじゃったという元も子もない歴史よね。
余裕がなかったんだろうな。
御三家の中では石高も低く、江戸に定府しなければならない水戸藩は常々財政難だったらしく、重税を強いられる下々の生活は困窮を極めた的なことが書いてあってさ。
黄門は他所の治世に難癖つけに行ってる場合じゃねーだろって思ったぜ! まずは隗より始めてよね!
ちなみに弘道館にも梅の木が多く植えられているのですが、これも花を愛でるというよりは、非常食にする観点もあっての植樹だったようで。これを武家風といえば、かっこよくも聞こえますけど、水戸の華の無さ、遊びの無さみたいなものの背景が伺えます。
水戸駅から大工町方面に至る国道50号線は ”黄門さん通り” と名付けられた水戸のメインストリート。
親しみ込めた呼称の裏に、一歩間違うとスキャンダラスに響く ”黄門” というワードの扱い難さを感じますな。
さておき、無電柱化もなされて、街並みはこざっぱりと維持されております。
一方で、徳川御三家の城下町として栄えた痕跡は薄いのよね。今日の飲食文化とも密接にかかわる部分だと思うのだけれど、古い街並みや、老舗なり花街なり伝統工芸なりという古都につきものの要素が欠落しているようにも感じられるのです。
やはり水戸空襲であらかた焼けてしまったのかな?
駅から1.5kmほどビミョーに離れた泉町エリアが旧来の商業中心部となります。
その中核としてそびえるのが県内唯一のデパートである京成百貨店。地方の百貨店が軒並み苦境を晒す昨今では特異に思えるほど、立派に格を保っているデパートでした。
乗り入れもしてない京成が、なぜかしゃしゃり出てきている理由はわからないのですが、地元の競合との生存競争を勝ち残り、施設も綺麗に更新できたみたいなのよね。
その他、地元財界の社屋なども設置されておりますし、豪奢な新市民会館も建設中。ここに再びの活性が期待できるかというと若干無理めにも見えるですが、まだまだ資本投下は続いている様子です。
近接する商店街については、やはり閉まっているお店が目立ちますね。
ただ、廃業したまま手つかずで放置されている例はそう多くなく、すぐには建て代わらないにしても、整地して駐車場なりにするだけの体力はあるみたい。
泉町をさらに進むと水戸の歓楽街たる大工町。
かつては那珂湊から大洗を経た茨城交通水浜線の路面電車がつながっていたらしく、銭を握りしめた漁師たちが大挙押し寄せて賑わっていたんだってさ。
一応、料亭的なものも見えたのですが、現在は概ね味わいの無い下世話な風景でした。
ついにやってきました、偕楽園!
いや待ってよ、ほんとに日本三名園の正門なのかという地味なエントランスじゃんか!
JRの最寄りは水戸の隣の偕楽園駅になるのですが、これが梅の時期にしか営業しない臨時駅らしくって。いやいや、水戸といえば偕楽園なはずじゃんか? 普段はロクに観光客がいないってことなのかよ??
さらに水戸駅から複数出ているバスも、入口ドンピシャまでは届けてはくれず、住宅地をしばし歩くビミョーなアクセスだったんだよな。
周囲にめぼしい観光街がくっついてるわけでもないし、これでいいのか、水戸観光。
3000本もの梅が植えられた有名な梅林の他、竹林や杉林が清々としております。
湧き水を集めて湛える吐玉泉も斉昭公が造ったものなんだって。
中心部には藩主の別邸として茶会や詩歌の催しが行われたという、渋い好文亭。
こちらは空襲等により消失した建物を復元したものみたいです。
三階にある楽寿楼からの展望が最大の見どころよ。
遠く偕楽園に隣接するのが千波湖。こちらはわりと近代的で、ぐるり廻ると3kmもあるらしいから、根性のない私はばっちり端折ってしまったぜ。
ちなみに、一帯もひっくるめると300haとなり、NYのセントラルパークに継ぐ、世界第二位の広さの都市公園であることを売り出しているようですが、どうでもいいな。
日本を代表する名庭園と聞いていた偕楽園。
民と皆で楽しむために斉昭公が造園したものですが、正直に言うと、公園の風景なんだよな。
梅林も果樹園感あるし、日本庭園としての美や理想、宗教観や思想なんかを追求した場では無さそうだなという感想を抱きました。
まぁピクニックには良さそうです。
萩まつりが絶賛開催中。これも祭りというのはおこがましきボチボチ感。
やはり、ここは梅の時期に来なきゃならんのかも。
ひたち海浜公園もそうですが、訪れる季節により、印象が大きく変わる観光地のようです。
キレイな写真に惹かれて、光圀公ゆかりの保和苑という庭にも立ち寄ったのですが、これも紫陽花の時期ではなかったので、わりと凡な公園風景でありました。
その他、散策してみると、街中には近代の遺構が点々と残り
後に再現されたものも多いですが、江戸から続く施設、寺社仏閣の類も事欠きません。
ただ、それぞれの門前にお土産を買ったりお茶したりというスポットが育まれていないため、街を楽しく巡る観光という部分では、あまり魅力を感じないかもしれませんね。
総じて華がないというか、素っ気なさを感じる水戸の街です。
駅前にある、エグい鳥居の水戸東照宮の麓には、ディープでレトロな宮下銀座街。
ここには意外と若い飲み屋さんが入っており、そこそこの賑わいでした。
水戸はバスの街でもあるようです。
中心部には地味に高低差があり、市のレンタサイクルもだいぶ使いづらい設定なので、バスのフリーパスが観光の足となりそうです。とりあえず、ジョルダンの電子チケットはクソなので、紙券を買いましょう。
黄門さん通り沿いについてはビュンビュンとバスが通ってますので、お店巡りをする場合には便利です。
水戸駅の南側は新しく整備された街並みでした。
移転した県庁や市役所もあり、ホテルなり、オフイスなり、今後はこちら側が街の中心になっていくのかもしれませんね。
ただ、地場の飲食店等は多くないので、旅の宿泊ならば駅北側で探すのが良さそうです。
水戸のお土産については、駅ビルの「エクセルみなみ」に概ね揃っております。
市街地には買いまわるほどのお店がないので、旅の最後にここでまとめて購入しましょう。
水戸観光に息が詰まったら、大洗、那珂湊、ひたち海浜公園あたりに逃げるプランもありか。
いずれも水戸からの距離は近いのですが、公共交通機関では必ずしもスムーズにアクセス出来ないこともあり、期せずして一日がかりになってしまう恐れはありますね。
その場合、水戸を拠点にせず、現地に泊まってしまう方が潔いのかもしれません。
そして、地味茶すぎる水戸の食い物よ!
お目当ての大衆グルメについては、予想通り成果薄かも。
例によって、4週分くらいにまとまるはずなので、期待せず、おたのしみください。
なお、はるばるバスを乗り継いで食べに行ったスタミナラーメンは臨時休業でさ。
そんなら、もういいやとパスしてしまうヌルい熱量でごめんなさいね。
オッサンになって以降、好奇心を裏支える体力が乏しくなっております。
納豆粒のキャラが可愛い、水戸黄門漫遊マラソンも近々開催されるみたいです。
コメント一覧
水戸市在住者です。
的確なご指摘にうなずきながら拝読しました。
上の方がおっしゃるとおり、水戸という地域を的確に言い表した感想だと思いました。
これからの発展は難しいかなぁ〜それもまた悔しいなぁと感じつつ、まぁ静かに過ごせるからいいかと思ったりして。
地元民からすると茨城は良いところなんですけどね。
>ウッマさん
派手に開発されることはないのかもしれませんが、ゆったり暮らすには良さそう。
とにかく日立に頑張ってもらうしかありません。
なんだか申し訳なくなってしまった。
ただ東京で長年暮らしていたものの意見としては住むにはこれくらいの場所がいいです。
夜が静かだしちょっと脚伸ばせば海にも山にも行けるし不便な感じはしないですね。
>匿名さん
暮らすのに必要なものは全てありますね。
やっぱり水戸駅周辺って美味しいものないですよね。用事で行っても駅ビルで済ませるしかない程度…東京は美味しいものが溢れていて憧れます…。
>マヨ子さん
徒歩圏内で地場の大衆的な食を探す旅なので、水戸の本当においしいものは取り逃がしているかもしれませんね。駅ビルで必要なものが揃うというのは十分な価値だと思います。
水戸市民よ、東京と比べちゃダメ!私の住む神奈川最西端の町から見たら水戸はスーパーシティだよ!初めて行った時 お祭りやってるのかとおもったよ。
>ぽんちゃんさん
山とダム湖があるじゃないか!
川西屋の丹沢山もおいしいでしょ!
水戸近辺のものですが、食べ物に関しては、「食材はいいけど、料理だといまいち」が当てはまると思います。
>ねこネコさん
港も近いし、ちょっと郊外に出れば、お野菜もいっぱいありそうですもんね。
牛久の大仏とか筑波学園都市とか。
他になにか?
うーん。
筑波学園あたりは、意外にパンやフレンチがイケるとかいう話は聞いたことはあるか。
実は母が晩年牛久に一年ほど住んでいたので、牛久までは何度も行っているのよ。
あ、鰻は場所によっては美味くて安い可能性も!
>アリーマさん
うなぎ屋さんはやたら目についたので、探せばいい店ありそうよ。
当たってますね。確かに『華』は無いです。伝統を上手く伝えてこれなかったと言うか、中途半端な気がします。住む所としては満足してますけれど。
>うさぎさん
観光なんてたまのことですからね。住み良い街であるという評価が、皆さん変わらないことの方がすごいと思います。
水戸は、詳しくないですが、つくば市や守谷ですと、
都内の有名店で修行したシェフのお店がいろいろあり、レベル高いと思いました。
肉も魚も野菜もよいものがリーズナブルに入手できるとのことで、良いようです。
客のリテラシーも高いし。
パン屋さん、イタリアンは都内ならいくらだろうみたいなレベルもありました。
>ぴーさんさん
旅の食事だと、おいしいものというよりは、ご当地の文化や歴史のあるお店の方を選んじゃいますね。
郷土食の場合、居酒屋をスルーせざるをえないのが、下戸の欠点です。
なるほど、そうでしたか。
茨城で歴史を感じたければ、徳川の前の、佐竹藩のお膝元だった常陸太田エリアの方が良いかもしれません。
常陸秋そばや太田ちまきなど、歴史を感じさせるお店があります。水郡線は本数少ないですが、どの駅も、駅から歩ける範囲で見どころありますね。
>ぴーさんさん
なるほど、都市圏から少し離れた方が旅情あるのかも。
太田ちまき、おいしそうだなぁ。