妙心寺の北門前にあるお菓子さん。
享和二年創業の老舗で、仁和寺などの御用達にもなっているんだそうな。
京都のお菓子文化は宮中や公家、商家だけでなく、寺社とも密接ですね。大きなお寺の近くにはやはり歴史を刻んだ名店が付きものだったりします。
それでも、西大路よか外れた先は、市中に比べお菓子屋密度もぐっと薄まりますので、ここらのお寺を観光する際の貴重なお土産スポットといえますよ。
構えはわりと奥ゆかしき風。そのまま気づかず通り過ぎてしまうくらいかもね。中も気取らず、町場のお菓子屋さんのような雰囲気で、女将さんが優しく対応してくれます。
名物の衣笠は「昭和3年、昭和天皇御大典にご嘉納の栄を賜り、また平成11年仁和寺にて、天皇皇后両陛下行幸啓の節、茶菓としてお召し上がりの栄に浴しました」と書いてあります。
どんなお菓子かというと、中にあんこの入ったピンポン玉大の半生落雁。
よくお寺の茶話で出てくるようなカチカチじゃない方の落雁あるでしょ、アレをもう一歩口溶けよくしたような感じかな。丸形をきれいに保ちつつも、ポックリでははなく、サックリほんわりと米粉っぽさも感じるような歯ざわりよ。中の餡子も皮とほどよく調和して、おいしいお菓子だと思います。
ただ、地味っちゃ地味で、いかにもお寺っぽく質素な観を漂わせておりますな。
んで、食べてて思い出したわ。
うん十年前、やはり京都観光の恰幅少年がこのお店に衣笠を買いに来て、うーん、おいしいけど地味だなぁと思った記憶を。京都の歴史はようよう揺るがねぇな。
ちなみにこう見えて、駅ビルやデパートにも出品しておりますよ。華を求める向きには生菓子なんかはまた別の風合いで、なかなか魅力的だったりしますから、銘菓以外の部分にも注目したいところです。
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