阪東橋の「カフェ シトカ」でキャラメルとアップルのチーズケーキ

八幡町に突如出現したカフェ。

個人グルメブロガーという存在が、すっかり時代遅れとなり、 ゼニガタアザラシのごとく、その数を減らしつつある今日このごろ。

かくいう私も、その端くれとして、緩やかにネットから退場つつあるわけですが、貴重な生存者の中には、マヂで、いったいどういうリサーチ力を持っているのか、レアすぎて、渋すぎる店舗紹介に対し、もはや嘆息を漏らすしかねぇような趣味怪人も存在するのです。

せめてさ、徒歩圏内となる南区下町の動向くらいは自らおさえておきたいと思っているのに、今回も例によって「怪猫ガイド」さんに存在を教わった次第ですよ。つか、自分の力じゃ絶対見いだせないお店なのです。

場所は南区八幡町。職人か、アル中か、アル中の職人しか住んでないような、昔ながらのド下町であります。

しかも、かの「磯村屋」よりも更に奥の、お神輿をおっかける時以外は誰一人足を踏み入れないような未開の地へ、場違いなオサレカフェができてしまったのですから、姉さん大事件！

つかね、なんかの間違いで表を通りがかったとしても、絶対気づかないであろう細い路地の奥にあるんだから、こりゃもう、どうしようもねぇと思うのです。

うわっ眩しい！　我が阪東橋にはカフェという文化の存在があまりに眩しい！！

しかし、一旦冷静になって俯瞰してみると、いかにもご当地らしい味ありすぎなトタン物件であることに気が付きます。なにか、過去に悲劇的な出来事があってそのまま放置された家って感じするわ。

ちなみに大家さんは表のお米屋さんらしく、脇にちらっと写ってるのが米蔵ですよ！すっげーな、よく残ってたな。

聞くところに寄ると、お店のオーナーはそれなりに名の知れたミュージシャンなんだそうな。んで、自分の事務所の一階をカフェにしたと書いてあったのだけど、二階の事務所・・・なんか、きのこ的胞子的なものが生えてそうで心配です。

おそらく、今後のレビューにはこんな店頭写真が使われると思うので、行ってみて構えにビビらないように、おなしゃす。

お店はまだまだ整備＆拡張中らしく、今後もっと魅力的に面白くなっていきそうです。 いずれ ウッドデッキができたり、米蔵の中も客室にしちゃうっていってたから楽しみなんだよね。

中は入ってからのお楽しみだけど、外見のイメージとは全く違って、建物の古さや味を残しつつも、カッコよく落ち着けるようなカフェ空間に仕上がっています。私も驚いたけど、皆さんも是非びっくりしてください。まさか八幡町にこんなスペースが出来上がるなんてね。

店長の人の良さげなお兄さんは、なんと、かの「ツキコヤ」出身のバリスタチャンピオンなんだそうな。コーヒーをメインに、２、３の手作りお菓子と、ポトフやスープカレーが今のところのメニューです。

かっこいいだけじゃなく、お味が良い！

ケーキはりんごの薄切りを挟んだベイクドチーズケーキ。キャラメルの風味も香ばしく、シャクッとした煮りんごの食感と、チーズのまったり味で、舌以外が肥えてしまった甘味デブ以外でも満足するであろう出来栄え。

コーヒーもおいしいですね。本日のブレンドはすっきり嫌味なく喉を流れる中に、ほんわか果実のような風味があって、上品です。

うん、これはガチに楽しめるカフェですよ！

こちらは前日の閉店後に偵察に来た際の写真ですが、夜はさらに近づきがてぇぞ！

しかしまぁ、なんでこんな場所にこんなカフェをオープンさせたのか。せめてもう少し繁華街寄りならばと思わなくもないのですが、「ツキコヤ」もあんな立地ながら、お店の面白さやコーヒーの美味しさで、多くのお客さんを集めるお店になっています。

なにか確たる価値を提供できる場であれば、ネット時代の出店は必ずしも既存の商業地や人通りへの露出にこだわる必要がないのかもしれませんね。

ここら周辺は、ローソンあたりの空気が若干ピリリとする以外は、特段珍しいものがあるわけではありませんが、ちょいと散策してみると、もはや他では失われつつある庶民生活の風景に出会えるエリアです。磯村や仲乃湯、中村八幡、横浜橋なんかとセットにした下町ツアーの良き休憩所になりそうです。

ちなみに表の伊籐米屋の自販機が地味に面白いので必見です。