創業明治25年。大通りにドーンと構える広東料理の老舗。
横浜中華街の筆頭格といえるお店でしょうね。
いわゆる ”三大楼” は宴席や会食でもなければ、そうそう訪れる機会の無いお店です。地場で根強く資産を積んだ爺婆が好むベタ不動の「華正樓」 やたらワインを開けたがるチャンネー連れが好むアーバン「聘珍樓」に対し、伝統を堅持しつつもモダンなチャレンジも行う「萬珍樓」は、ほどよく中庸を行くイメージかな?
人出が戻ってきたとはいえ、コロナ前の盛況にはまだ遠い、昨今の中華街。
接待や宴会が激減している関係で、特に夜間の営業がしんどいという話もよく聞きますが、週末に巡った限りでは、大手に待ち客が溜まっている点、やはりそれなりのブランドを育ててきたお店は容易にへこたれないなと感じます。
実際、遠方からの観光だったり、お客さんや親戚を伴うような場合は、自分らが普段遣いする小汚ぇ店よか、The・中華街な趣ある老舗に案内した方が喜ばれるもんね。
そんな時に選びたいお店は、やはり「萬珍樓」でしょう。
こちらはなんといっても食事環境がゴージャスなのよ! 本国の重厚な意匠をふんだんに取り入れつつ、遊び心もある内装が雰囲気良いからね。極端な話、何を食っても印象に下駄履き出来ます。
サービス料を取るだけあって、対応も安定してますし、ゆったり茶をしばきつつ、案内を待てるお店なんて、中華街ではここだけでしょう。街が混み合うほど、価値を感じるお店かもしれません。
やたらと敷居が高く見えますが、お昼はむしろお手頃。
件の松花堂っぽい御膳が値上がってたので、特に急がない人はコースを頼むのがお得です。なお、ランチのコースは価格差も大きくなく、最安のものでも充実しているので、予算というよりはお料理内容を見て食べたいものを選べばいいよね。
お料理は一人前づつ盛られたものが提供されます。
朱雀前菜は上から葉っぱ、海老、マッシュポテト、野菜の煮こごり、トマトソース。
ヌーベルな一皿でもって、出会い頭の牽制を仕掛けてきますぞ。ただ、箸では若干食いづらいわよ。
海鮮とキノコのフカヒレスープ。
海老と平貝の2種作りはいわゆるエビマヨと貝チリです。
気取った個々盛りは楽ちんだし、コロナ向きの対応といえます。
ただ、取り分けも会食のコミニケーションと考えると良し悪しかな。大皿盛りでドーンとやって来る方が旨そうに見えるし、冷めにくい気もするし。
肉団子のXO醤煮込み。
この肉団子は件の弾力ありすぎな中国スタイルのもの。
ぶっといきゅうりとエリンギとともにコクのある餡と合わせてあります。
大山鶏と里芋の柚子ソース仕立て。
柚子香る甘酸っぱいフルーツソースを絡めた唐揚げと、大学芋かなと思いきや噛むとネットリ里芋。
ここで麻婆茄子あんかけ御飯がねじ込まれる謎。
定番コースだからか、季節感はあるんだか無いんだかよく分かりません。
ただ、マンゴプディングもおいしいし、手堅い昼食となりました。
高リスク体型故、うっかり罹患も出来ませんので、少なくともコロナが猛威をふるう間は密な環境での食事は避けたいと思っております。そういった意味でも、こちらのお店は危なげなく、おすすめできます。
そうか、もう20年も経ちましたか。厨房から大火事を出して、一時は存続も危ぶまれましたが、以前よりも良い形で再建してくれたなと思います。
コメント一覧
先日、久しぶりに伺って麒麟コース(2名)を頂きましたが、
全体的に作りたて感がないというか、
すでにある程度作ってあるモノをキレイに盛り付けてサーブしている感じを受けました。
まあ、美味しいんですけどね。
いわゆるヌーベルシノワ?っていうんですかね、
こういうスタイルの特性上しょうがないのでしょうね。
相変わらずホスピタリティはグッドでした。
>jincunさん
ご指摘ごもっともで、個々盛コースのデメリットよね。
お皿はちゃんと温めあてあるのだけど、一皿のポーションが少ない分、熱を保ちづらいのだろうな。
大きなお店だし、配膳までのタイムラグも否めないかなと思います。