南町の雑居ビルに入る、うどん屋さん。
水戸の北方に位置する常陸太田市には、西山うどんという名物があるんだそうな。
西山といえば、御老公が隠居して暮らしていた場所じゃんか! 水戸黄門第一話では西山荘からの出立が定番であります。
光圀には自らうどんを打って家臣などに振る舞ったという逸話もあるので、そういう歴史的な食べ物なのかなと思いきや、元祖をうたう「いずみや」の店主が、昭和になって味噌うどんを元に作り始めたものらしく、むしろ尾張のもんだったみたいです。若干の肩透かし。
「いずみや」は茨城県内にいくつかの暖簾分けをしており、こちらもその一軒。
メインストリートから、ほんのちょこっと脇に入ったビルに入っているのだけど、ここもまぁ…相当に年季の入った建物で、怪しげな夜の店が入っていたり、ご覧のように、廃ビル内の廃店感がハンパなきあり様です。
本店等は行列も珍しくない人気店らしく、それなりの需要は見込めるであろう水戸の中心部において、あえて、こんなマニアックな3階にうどん屋を出すことになった経緯がそもそも謎なのですよ。
ただ、穴場であることは間違いなく、私の入ったお昼すぎには、ほぼ貸し切りのユルい営業状況でした。
店内もとっくにライフは尽きている環境。ほんとにここで食事してていいのかなという、なんとなき座りの悪さも感じます。
水戸の麺屋は味わいが深すぎるぜ。
本来は肉うどんで名を上げたお店とのこと。
ただ、近年はその歯ごたえが存分に堪能できる冷やしのメニューが人気らしいので、私も冷やしむじなうどんをいただきました。
ぶっかけスタイルの提供です。
荒ぶる姿のぶっというどんよ!
喉越しはありませんね。なぜなら、紐状の小麦の塊をワシワシ噛んで食べるから!
山梨の吉田うどん等にも通じる、無骨なストロングライン。味噌煮込みうどんがルーツとの話もありましたが、本来は軽く煮込んでちょうどいいんじゃないかと思います。
自家製っぽい甘い卵焼きがいい感じで、あえてきつねを入れなくてもアクセントになりそうです。モサくなりがちな食感を、薬味のわさびがキュッと締めてくれました。
1点残念だったのは、おそらく茹でおきだったこと。それでも独特な食感は楽しめましたけれど、回転の良い時間帯ならば、フルパワーの歯ごたえがいただけたんじゃなかろうか?
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