横浜中華街の「清風楼」でヤキメシ、ワンタン

関帝廟通りにある広東料理店。

良くも悪くも・・・悪くも、独自のスタイルを曲げない、お客におもねらないお店であります。ただ、”池波が愛した～”というミーハー要素だけは後生大事にしてますよね。

コロナ禍により、ハマっ子も未だかつて見たことがないような光景となっている中華街。

通りにあふれていたお客の姿はさっぱり消え、オレらってば、もう商売になんねーからと、やけっぱちな井戸端会議にかしましい店員達の姿しか目に入らねぇもんな。

そんな中で、信じられないものが目に入ってきましたよ。

あの「清風楼」が席を詰めていないの！　

目下の店内にどんだけ空席があっても、この先、決して混み合うような時間でなくとも、端から横並びに座らせたカップルの対面に、別のカップルをねじ込んでくる地獄ホスピタリティで知られるかのお店が、なんと１卓に１人を案内している異常事態です。一大事。

こればかりは実体験を後世に語りつがねばならんと、すかさず入店してしまいました。

さすがにお客は少なくて、お店はコックのオッサンと若手の最小限で回しているご様子。それでも、お土産を求めるお客さんは思った以上に来店しており、ほぼほぼ焼売屋さんとして営業するついでに飲食提供もしてるような感じです。やはり収益の柱が複数あるお店が強いんだなって思ったわ。

さらに、待ってる間に驚いたのが、兄ちゃんがニコニコしながらお水を足しに来ること！　あ、ありえない。高齢感染のリスクを回避するためか、ババアや古株の姿が見えないだけで、こんなにのびのびとした食事環境になってしまうのか。

お目当てはヤキメシです。

コロナにまけないサービスなのか、なのか、デブへのやさしい配慮なのか、そもそも一人前の調理に慣れていないのか、いつも以上に盛ってやがるぜ。さらに久々記念のワンタンまで付けちゃったもんだから、見事に満腹オーバーの天罰を受けましたわ。

皆さんも、「中華街でギョーザの旨いお店教えて」とか「ラーメンが有名なお店はどこ？」とか、正解が思い浮かばないような質問を受けることがありましょう。チャーハンについては特にオススメを聞かれることが多いのですけど、私はずっと「清風楼」と答えておりましたよ。

もちろん、活力あるお店が作るパラッとふわっと炒めた今風チャーハンも旨いです。でも、横浜らしい文化や歴史をひっくるめて楽しむという意味では、その昔食べたような、古きお店が頑なに守るヤキメシが良いんじゃないかと思うのです。

この日は若干の油重さも感じる仕上がりでありましたが、丼一杯のチャーハンをレンゲでかっこむのは、なかなか良きスタイルですよ。

ちなみにヤキメシ等は、並、上、特のランクがありその価格差が大きいことでも知られています。個人的には、倍払って海老２，３尾入れたいとは思いませんし、ヤキメシは素の旨さを堪能する意味でも並がオススメでした。

しかし、今は並ヤキメシへの足し算ではなく、お店が主力にしたい上ヤキメシからの引き算になってきてるのかもなぁ。全く変わらないようでも、やっぱりじわじわ劣化する部分はあるのかなぁって思いました。

ワンタンスープもノスタルみ漂うあっさりテイスト。餡かけ無しに麺を食わすにはちょい弱いので、ここはワンタンがいいと思います。焼売が名物のお店だから、必然的にワンタンも侮れないものなのです。

ただ、点心のセオリーとして、海老の有無でお味が大きく変わります。肉のみワンタンはちょっと臭みもあるから、これも並相応といえましょう。やはり頼むならエビ入りです。

どちらも、長らく中華街の名品だと思っておりました。でも、久々に食ってみたら、もうそこまでの格は無いのかもなって思ったり・・・

いい意味での接客ルールの変化も含め、近い将来「清風楼」がわりとフツーのお店になってしまうエンドも無きにしもあらずかな。