天気雲翳ニシテ士気低シ。
よりによって、梅雨真っ盛りな松山へやってきました。
洗面所の鏡に映る超出腹・・・
体重だけは同行2人分たっぷりある私です。
この健康劣悪な身体を抱えて、遠出をする気力や体力がいつまで続くのか・・・
つかの間の余裕があるうちに、予定だけはギツに詰め込んでおるのです。
ただ、方々を巡る中で、旅への意気込みというか、準備計画などはだいぶテキトーになってきたなと感じます。
帰宅後の駄文書きにも、えっれぇ時間を食うから、もはや楽しみなのか労務なのかも、よく分からんしな!
伊予国の主邑である松山は、古いお城が残る歴史都市。
空港も近いし、コンパクトな市街地には有名な温泉もあるしで、旅先に選ぶ条件は十分に揃った街です。
ただ、いつものような大衆食巡りの目的があったのかというと、特になんも思い浮かばないまま来てしまったのよ。
かの司馬氏はご当地について、かく記しております。
地味が肥え、物実りがよく、気候が温暖で、しかも郊外には道後の温泉があり、すべてが駘蕩としているから、自然、ひとに戦闘心が薄い
満たされているがゆえに、がっつかない街なんだろうな。
実際、空港リムジンバスの車窓の段階から、なんだか気の抜けた雰囲気だなという危惧は抱いておりました。
旅の起点となるのは、JR松山駅・・・ではないみたい。
なんだか県庁所在地の駅とは思えん姿をさらしており、大都市圏から切り離されたJR四国の厳しき経営環境がうかがえるのです。
加えて、市内の交通を牛耳る某私鉄が、スムーズにアクセスを繋げない嫌がらせもあり、中心市街からの距離以上に移動時間を食われる罠なのよ。
どうやら、この秋に高架線化が完了して、駅舎も新しくなるらしいのだけど、それこそ関西からの新幹線でも届かない限り、この駅に前向きな気配は訪れないのかも。
その代わりに存在感を示すのが、伊予鉄様の本拠である松山市駅。
かつてナウだった観覧車付きの「いよてつ高島屋」と、四国唯一というレトロな地下街「まつちかTOWN」を維持しているだけでも十分立派といえましょう。
たださ、数日しか滞在しない観光客に対し、ここでしか使えん電子マネーアプリを導入させようとするのは、さすがに強引な気がするぞ! みきゃんを付けときゃ許されると思うなよ!
路面電車が発着する駅前も、目下、地味な整備事業が進んでいる様子でした。
いつもならば、路面電車にはしゃいで乗りまくるところなんだけど、松山市駅から道後温泉へのアクセスは別として、市内観光の足としては、いまいち使い勝手が悪く、ほとんど歩いちゃった。
ご当地には2つの大きなアーケード商店街があります。
松山市駅前から東西に伸びるのは愛媛初のアーケード街として ”横のデパート” とも称された「松山銀天街」
江戸時代には裏手の中ノ川を使った舟運が行われており、その拠点として商家が集まっていた場所なんだって。
未来SF風の独特なエントランスが目を引きますが、銀天の輝きはだいぶん煤ボケてきた様子。
かつては繊維関係のお店が大変賑わったようで、間口の広い立派な店舗が多いのよ。
現在でも駅チカ区画にはそこそこの人出が見えるものの、そもそもなんでここに出店したんだかわからん「ZARA」や大手スーパーなどが撤退した後、大きすぎる物件を持て余すのか、次がさっぱり埋まらないみたい。
銀天街の端から、お城に向かって南北に伸びるのは、やはり古くからの商人街であった「大街道」
”おおかいどう” という読み方に若干モヤモヤもするのだけど、このエリアが松山の中心繁華街になっております。
その名に恥じず、道幅がめっちゃ広いの!! びっくりした!
といっても、大正時代に用水路を埋め立ててできた通りらしく、かつては中心に車道が通ってたんだろうな。
こちらは出店内容も大手チェーン等が中心で、観光で歩くにはそれほど面白くない場所です。
この全蓋アーケードが完成した際の興奮を語るお姉さんのビデオが繰り返し流れていたのですが、お店を見るのも片側ずつになるし、広すぎるのも良し悪しなんだよな。
大街道のランドマークは「松山三越」
ただ、直営部分はファッションを中心に全体の3割程度で、大部分をホテルや外部からの出店で埋めおるような状況らしく、それは、もはや三越って言えるのだろうか?
リニューアルの目玉であったフードホールはガラッガラだったし、私の楽しみにしている地場食品街もさっぱり機能しておらず、実にさみしい内容だったのです。
ここは最後のあがきがダダ滑ったってことだな。
大街道を挟む形、特に東側エリアが松山の歓楽街です。
昼間の景気からすると多すぎるくらいの飲食店がならんでおり、どこもそこそこお客さんが入っている様子なのよ。
若い人の姿も多く、夜半まで酔っ払い達の声が響くような、意外な活況を見せておりました。
メインストリートには、ほどほどのホテルがどーんと建ち並んでいる風景です。
やはり観光都市としての性格が強そうな松山か。
客層は主にアジアから、特に直行便が出てるらしい韓国の方が多いような印象でした。
大街道から松山城ロープウェー乗り場に至る「松山ロープウェイ商店街」
時期が悪かったせいもあるのだろうけど、あんまり賑やかさを感じない観光通りなんだよね。
小ざっぱりと整備された環境で、鯛めし屋が何軒も軒を連ねる一方、物販は乏しいみたい。
もしかしたら、お土産は拠点となる道後温泉で調達して、こちらは登城がてらに昼飯を食う場所って役割なのかもしれません。
そして、なんといっても松山城ですよ!!
現存12天守の中では最も新しい、幕末に再建された木造天守。
当時、城の増改築が厳しく規制される中で、かつての桃山様式を復活させた ”日本で最後の完全な城郭建築” と記されておりました。
街の中心に雄々しくそびえ立つ姿は、まさに唯一無二のシンボルといえましょう!
大半の建築を行った、賤ヶ岳七本槍の加藤嘉明が、ゆるキャラや銅像になってリスペクトされております。
その後を引き継いだ蒲生忠知がだいぶ短命に終わったため、将軍家光は西国外様の牽制のため、身内の松平定行を置き、明治維新まで久松松平家による治世が続きましたとさ。
ちなみに松山名物のタルトは、長崎探題を勤めた定行が伝えたジャムロールケーキを日本式に再現したものだって、知ってた? 意外な歴史菓子なのよね。
姫路城と同じく、櫓や小天守をつなげた連結式天守の構造で、いかにも屈強なお城です。
ご当地には、なぜか歴史博物館が設置されていないため、城内展示で、これまでの歩みを学びます。
やはり木造のお城は重々しき雰囲気でカッコいいよなぁ~
アジアのみんなもすっかりくたびれた様子でしたが、ご多分に漏れず古の階段は容赦なく狭くて急なので、我々重々しいデブにとっては決死の昇降となります。
でも、最上階からの見晴らしは最高なので、身体が動くうちに拝んでおきたいですね。
件の土砂崩れは、このあたりから滑ったのだと思うのですが、小雨が続く中でも、そんな気配はサラサラ感じず。
なお、2010年には城の南側でも土砂崩れがあって、漱石の下宿先を移築した「愚陀仏庵」が倒壊。
なんでも、築城の際に、谷を埋め立て山頂をならした経緯があるらしく、滑るリスクを抱えているのだとか。近年の異常な気象もあるし、危険な状況は続くのかもしれません。
行きはロープウェー、帰りはのんびり景色を見ながらのリフトが良さそうですね。
同じ券でどちらにも乗れるのですが、往復券を買ってしまうと二の丸御殿や東雲神社にはアクセスしずらいのが課題かも。かといって歩いて下るにはだいぶ距離もあり、悩みどころなのです。
なお、ロープウェー乗場脇には高校のプールがあってさ! 昔はJKがキャッキャと泳ぐ重要文化財クラスの風景を空から拝めたのかもしれませんね。惜しいっ!
松山観光のもう一つの目玉である道後温泉にやってきました。
坊っちゃんらがカクカクと動く、誰得なカラクリ時計に人だかりができております。
つかさ、こんなにも特定文学に寄りかかったプロモーションをする街が他にあるのだろうか?
どこを見ても”坊っちゃん””坊っちゃん””坊っちゃん””マドンナ”の文字で、もうお腹いっぱいなのよ。
坊っちゃんて、そこまで好かれるものなのか? 私等が本当に好きなのは漱石をプリントしたお札の方じゃないか!? それすら、もはや終わったし!
沼津だって、まだまだ引っ張れると思うぞ!
赤字累積という坊っちゃん電車は週末のみの運行らしく乗れずじまい。
なにやらクラファンが全然集まらないらしいのけど、そもそも偽SLだし、便数や乗車人数がごくごく限られる中で、存続の価値が問われるのは仕方ないのかも。
道後温泉駅前にもアーケード商店街があって、ここはとても楽しい場所になっております。
鯛めしの大手や、タルト、坊っちゃん団子などのお土産店も一通り揃っており、まさに観光街たる内容でした。
長らく補修工事中だった「道後温泉本館」から、やっと覆いが取れましたよ!
そして、グランドオープン目前の・・・
完全休業なんて、知らなかったんだもんんんんん!!!!
まさか、ここまできて入浴できないなんて! 湯上がりの2階で坊ちゃん団子が食べられないなんて!
くっそぉ、そりゃ、街なかの観光客も少ないわけだよ!
呆然としながら、周囲を見て回りましたが、いやぁ、素晴らしい建物なのです。
こういう物がキレイに補修保存され、現代に残ったことをまずは喜ばなければなりませんね。
松山城と道後温泉本館、この2つを拝むだけでも松山観光の価値はあると思います。
逆にそれ以外には展開しづらい街かもな。
泣いていても仕方ないので、営業中の公衆浴場「飛鳥乃湯泉」の方に入ってきました。
お湯はあっさりとしたアルカリ単純泉で、やはりお湯そのものの個性よりは道後温泉本館の魅力だよなぁ。
なお、私が泊まった中心市街のビジホも道後の湯を引いた大浴場が付いてましたし、もらい湯するならば、必ずしも温泉宿にこだわる必要はなさそうです。
松山藩主筋の久松伯爵が建てた、ネオルネッサンス様式の別邸 「萬翠荘」
これもカッコいいな!
土砂崩れに巻き込まれなくてよかったよ。しかし、このままだと、周囲の無駄緑に埋もれかねないので、建物の左右非対称が十分見晴らせるよう、適切な伐採はお願いしたく思ったりもします。
萬翠荘と同じく、木子七郎の設計した愛媛県庁も超ステキ!!
「坂の上の雲ミュージアム」にも立ち寄りました。
こちらは安藤忠雄による無駄な建築自慢。展示、観覧の都合は二の次ですといわんばりのわがまま構造がすがすがしいのですが、逆に飾るものがさして無いのに、ミュージアムを建ててしまった経緯も透けて見えます。
ご当地では坊っちゃんだけでなく、坂の上の雲をテーマにしたまちづくりも盛んになっているようで、おそらくNHK渾身のドラマとも連動した企画だったのでしょう。第三部がちょいアレでしたが、まさに傑作でしたよね。
ロビーでビデオが延々流されているので、こんな雨天の折は一日ここで観てても良いのかも?
松山駅から少し歩いたとこには、さぞガッツリ溜め込んだんだろうなとという芦原会館のビル。
また、フードコートなどを併設したJAの大規模直売所「太陽市」があり、野菜や魚、加工品など様々な産品がならんで、地元のお客さんで大賑わいでしたよ。
すでに季節外れでジュースしかなかったんだけど、ここから柑橘類を箱で送るのもいいのかも。
お目当ての大衆食については、うどんもカレーもラーメンもミートソースも、とにっかく甘ぇのよ! なにこれ!
そして、対外的には、鯛とみかんジュースを与えて黙らせておけという施策です。
そんな感じで、手応え薄めな今回の松山旅。
記事ボリュームは例によって10日分以上ありそうなので、ボチボチとお楽しみくださいませ~
コメント一覧
こりゃ、生魚を配送したいですね。
>つちころりさん
中一日かかりますから、鮮魚ではなくなっちゃうんだよなぁ。
キッチン付きの宿を取って自分で調理できたら、それもまた面白い経験になるかも。
松山に直接は関係ない話なんですが、ポンジュースでおなじみのえひめ飲料の東京営業本部といよてつのアンテナショップが何故か秋葉原にあるんですよね
えひめ飲料の本部前にある自販機は全部みかんジュースで、これがまた美味いんですよ
>習志野ゴンザレスさん
へぇ、知らなかった!
昔、市場だった名残りなんでしょうかね?
うざっ
>匿名さん
うざっっ
地方都市に対してマウントとった態度が腹立つ
もっと良いところも取り扱ったらいいのに
>匿名さん
なら、良いところを書いてくれればいいのに。
偉そうに上から目線の、読むに耐えない文章でした
気分悪くなるので、最後まで見ないことをおすすめします
どの都市なら満足するんだろう、この人?
>かつどんさん
いったい誰に向かって語りかけてるのかが分からんけど、もう20年近くこんな調子だし、許せる人しか読んでないのよね。
くすっ、あたしが住んでた時と、ほとんど変わってないですね。
懐かしい~。
常連と一緒じゃないと、どっから入っていいか、絶対に分からないおでん屋さん(とても美味しくて、いつも満席なのに)とか、AM2時前に開店する超激安で、美味しい天ぷら屋さんとか、
個性的な、いいお店がいろいろありました。
観光ガイドには、絶対に載っていないお店がおもしろいんですが、ハズレの確率もかなり高いです。
>Caさん
宇和島い縁のある方なのかと思ってましたが、松山にもお住まいでしたか。
なんだか夜の街が奥深そうですね。
別府に行くのに広島からフェリーで国東半島に上陸し、夏なので最初に口にしたそうめんのつゆがひどく甘くてびっくり。中央構造線ですか、愛媛と文化がつながってゐるやうで・・・ 関西のつゆの甘さとはレベルが違ふ印象でした。なお、愛媛はじゃこ天が最高!!
>RTさん
長崎から砂糖が伝わったシュガーロードってのがあるらしいですが、愛媛も九州からの影響が強い土地なんですかね。
ニッポン放送8月7日「伊集院光のタネ」で愛媛県の麺文化を紹介していましたよ。
ラジコタイムフリーで1週間の聞き逃し配信を楽しめます。
>はってばってさん
サンキュー!
なんか面白いこと言ってた?