仙台のお菓子といえば、萩の月にずんだ餅、もっさい駄菓子のイメージなのよ。
恥ずかしながら、上等な和菓子屋さんの存在なんて、全く知らなかったのです。
売茶翁とは、煎茶中興の祖ともいわれる黄檗宗の僧のことで、京の往来に店を出して、茶を供しながら様々なことを説いたことから、そのようなあだ名で呼ばれるようになったんだって。
明治創業という当店の初代もまた、家業の傍ら、禅を組み、無料で茶を振る舞うようなことをしていたようなのです。
キレイなマンションが増えてきた広瀬川の辺に、ぽつんと残る平屋の日本家屋。
だいぶ敷居が高そうにも感じますが、観光のお客さんも次々買いに来ているので、ことさらビビる必要はなさそうです。
店頭はこんな感じですよ。
いやぁ、京都の老舗といっても遜色のない立派なお菓子がならんでおりました。
秋らしい錦繍きんとんと、二重のこなしで栗あんを巻いた柿型の野路。
繊細な上生菓子は、旅の散策中に持ち運べるようなものではなく、我慢せざるをえない場合が多いのよね。
できれば、どこぞの店内で綺麗なまま出してくれるものをいただきたいのだけど、当店のイートインはコロナ禍を経て、今はやめちゃってるみたいで残念です。
その点、どら焼きならば、気を使いませんな。
つか、上菓子屋さんでどら焼き作ってるのは珍しいよね。
大ぶりでずっしりと立派などら焼き。ふんわか香ばしく焼けた皮に、すっきりとした粒あん。どちらにもスイートな後味が残って、渋いお茶がはかどるわぁ。
誰が食べてもわかりやすくおいしく、近年食べた中ではダントツのどら焼きでした。
店頭に ”どら焼き ございます” の表示が見えたら、必ず確保しましょうね!
うちへのお土産は、看板銘菓のみちのくせんべいとお干菓子のセット。
干菓子は3セット分、別の内容のものが入っておりました。
秋を感じつつ、ポリポリといただきます。
とりあえず、このお店が残っていれば、ご当地の茶道は困ること無いだろうなと思います。
看板銘菓のみちのくせんべいは、いわゆる麩焼き煎餅です。
比較的薄焼きで、表面は風味のある黒糖蜜でコーティングされておりますよ。
まず表面の景色がなかなかに渋いし、パリンと軽い食感も心地よく、お味もおいしいわ。
実を取るのなら、仙台土産はこれ一択でいいと思います。
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