嗚呼、憧れの鍋焼きラーメン。
戦後、須崎に開業した「谷口食堂」が、冷めにくいホーロー鍋でラーメンを出前したのが事始めなんだって。
港町であるご当地では、安くて旨くて体の温まる ”鍋焼き中華そば=鍋中” が広く親しまれるようになるのだけど、元祖を含め、レジェンド店の多くはだいぶ昔に閉店しており、その味を懐かしむ次世代へと受け継がれているようです。
2002年、高知自動車道の延伸にあわせ、地元商工会を中心とした「須崎名物 鍋焼きラーメン プロジェクトX」による町おこしが行われ、全国知名度が爆発。ちなみにラー博に出店してくれたのもこの団体だったみたいですね。
提供店も増え、専門店から喫茶店まで様々なお店で鍋焼きラーメンが提供されております。

そんな鍋焼きラーメンの筆頭格である「橋本食堂」にやってきました!
駅で降りたのは私一人だし、街なかの商店街にさえ、生命の気配が感じられなかった須崎ですよ。
まさか、普通の住宅に囲まれた食堂の、口開け間もなき時間にこんな人だかりができているなんて予想だにしませんでしたわ。平日だぜ!
小上がり等、そこそこキャパのある店内はすでに満員らしく、記帳して小一時間ほど待つことになりました。
お母さんたち女性陣を中心に、ワイワイと切り盛りされている、活気あるお店よ。
お客はもっぱらオジサン達で、遠方から車で来ている方も少なくありませんが、それ以上に顔見知りの地元の常連さんたちに愛されているお店のようです。

やってきました! グツグツと煮え立つ鍋焼きラーメン!
一人土鍋の蓋をとると、ほわ~んと立ち上る鶏と醤油のイイ匂い。もうたまらんわ。
スープはシンプルなんだけど、絶妙に染み入る旨さなの!
どうやら元祖の向かいが鶏肉店だったようで、鶏ガラ主体となる澄んだスープや具材に影響しているようですね。
カエシには地元の醤油を使っているらしく、もしかしたら、この辺も九州や愛媛のように醤油が甘い文化圏なのかもな。
鶏出汁のほんのり甘い醤油味という、人生の晩秋を迎えつつある我々にはど真ん中ストライクに決まる味わいです。
ストレート麺はパッツリ硬茹での状態で出てきて、私はその状態も好きなんだけど、食べてるうちにだんだん柔らかく馴染んでくるの。フーフーいいながら、熱々をすするのがまたイイ。
具は鶏肉、ちくわ、ねぎに加え、中央に生卵が落とされます。
四国らしく廃鶏を食べる習慣があるようで、鶏肉は雑煮くらいにカットされた”親鶏”が入ります。もちろん、スープとも合いますし、独特な歯ごたえや滲み出る味わいを楽しめます。
そして欠かせぬ相棒たる白飯も、面白いんだよ。
おそらく香り米が混ざってるんじゃないかと思うのだけど、粒立ち良く、ほんのりアジアな風味があって、ラーメンとも好相性。
こんなに旨いのに、お値段もえらく安いんだから、下げた頭が上がらないよ!
今回の旅で、いくつかの鍋焼きラーメンをいただきましたが、こちらは段違い。
この後、連食しなきゃ、特大で食いたかったわよ!

空港などでも販売されているお土産品。
おなじみ「アイランド食品」の銘店伝説シリーズです。

まぁね、分かってはいるのよ。
ぜんぜん違うってことは。
ただ、現地で自分だけ旨いものを食べてしまった背徳感で買ってしまうのです。
地味にかさばるし、重いんだよな!


コメント一覧
旅行編も楽しみにしている読者の1人です。
私も5年ほど前に食べてきました!
高知に行ったならば、ぜひ食べるべき1食ですよね。
恰幅節(マイルド仕様)のレビューが完璧すぎます。
これ読んだら、みんな食べたくなるでしょう。
お値段も安すぎるんですよね。
5年前とほとんど値段が変わってねぇ。
普段、お土産をほとんど買わない私ですが
つい同じものを店内で購入しちゃいましたよ。
そんな気持ちになるぐらい、美味しい!!