チキン南蛮と聞くと、宮崎のご当地名物を思い浮かべますが、海を隔てた高知でも大変人気があるメニューのようです。
昭和50年代、弁当屋がゴルフ旅行に行った先の宮崎から持ち帰って広まり、現在では様々なお店で提供されております。

高知式チキンナンバンのルーツといわれるお弁当店「くいしんぼ 如月」も面白いお店だったのよ。
現在、市内を中心に15ほどの店舗を展開しておりますが、中心市街を避ける出店のため、観光アクセスはややしづらいかな。
先ごろ「ひろめ市場」にもチキンナンバン定食のお店をオープンさせたようなので、そこで食うのもアリかもね。

今回は上町二丁目の電停から徒歩圏内の上街店に立ち寄りました。
お弁当屋さんにしてはだいぶ大きな店舗で、田舎の海岸観光地のごときユルイ雰囲気も漂います。
棚はだいぶスカっているんだけど、お菓子やインスタント食品、飲み物などもならべたコンビニ機能があり、コロナまではお弁当のイートインもできたみたいなのよ。
お弁当は注文の都度作ってくれる式で、ざっと見は寂びた印象ですが、お客さんは次々やってきますね。

如月のチキンナンバンは下味をつけた鶏胸肉の竜田揚げに、ケチャップとマヨネーズベースのオーロラソースをかけた品。
経済性や簡便性を加味した、お弁当屋さんらしいアレンジでもって、もはや独自のチキンナンバンといっていいのかもしれませんね。
ちなみに市内全てがこれかというと、タレに漬けるものやタルタルがけもあるようなので、高知式として統一されていない点は長宗我部氏も苦笑いでしょう。
お肉は厚みがあって食べごたえあり。タレに漬けないため、ソースのかからない部分は時間が経ってもバリザクッとした食感を残しているのがいいな。
マヨみ強めなオーロラソースはどことなくビックマック的な風味でもあるんだよ。淡白な肉の味にコッテリを加え、”唐揚げ旨いけど白飯は進まない”問題を、ソースの推進力で解決しております。
ポテサラは、ナンバンとバランスをとるよう、比較的あっさり仕上げ。
ちなみに ”ナンバン族” というくくりでもって、チキンナンバンにハンバーグなどのおかずを追加したチョイス弁当が特に人気みたい。ナンバンを倍にして、生姜焼きをつけたら、もうサイコーだぜ。

地味に衝撃を受けたの、玉子焼き弁当なるメニュー。
近年ではリッチなだし巻きをメインに据えたお弁当は珍しくなくなってきておりますが、市井のお弁当店にこの異端が紛れ込んでいる点で、やはり高知市民の玉子焼き偏愛がうかがえるのです。
低カロリーなのはいいけど、これで白飯が進むのか、ふりかけ必須のような気もするんだけどな。

当初目的としていた帯田店が廃業したのに気がつかず、お休みだと思って、2回も来てしまった悔しさよ!
そのまま路面電車の最果てまで乗って、桟橋店へとたどり着きました。
夜になると、港周辺は真っ暗だな!

気になった2つのオリジナルメニューを回収します。
奥のジャポリタンは、ソース味のスパゲティなんだな。
具はキャベツ、玉ねぎの他、おそらくナンバンのチキンを刻んだものが入ってるのが、らしいところ。ダメ押しで目玉焼にマヨとケチャを添え、さりげなくオーロラ感も演出しています。
懐かしき屋台風味ではありますが、ナポリタンに対するジャポリタンとして、醤油味ならともかく、ソース味が日本風というのはやや難易度高すぎる解釈ではないのか。
お味もいまいち締まらず。特に麺がグダグダだから、パスタで作るよか、素直に焼きそばの方が旨いと思うのよ。
なお、ジャポリタンに白飯をつけた弁当もあって、正気じゃねぇなと思いました。
手前のなんばん飯、通称 ”なん飯” は、九州の鶏めしの如き、ウェットな混ぜご飯です。
やはり、刻んだナンバンのチキンが具になっており、甘みのなかにほんのわずかなの酸味であとくちサッパリさせる、わかったバランス
こっちはアリかもな。新郷土料理って感じで面白くいただけますし、なん飯と卵焼きのお弁当とかも良いじゃないか?
大阪で作って、名古屋で売って、高知の店頭にならぶ謎の炭酸エナジードリンクは、はちみつの風味と甘味が濃厚なクで元気出たわ。


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