加山やサザン、TUBEのサウンドは決してそぐわぬ日本海よ。
今回、何が目的で新潟市まで来たのか?
一族のルーツがある土地らしいのだけど、どうせ惨めに没落したクチでしょうし、横浜生まれの私に郷愁があるわけでもなく・・・
そう! 単にかつ丼を食いに来ただけだなんだよっ!!
なんだか、旅先でもかつばっか食ってる気がするデブなのです。
ひたすらにまっ平らな越後平野の端っこ。
本州の日本海側で、唯一の政令指定都市であり、最大の都市でもある新潟市です。
風が冷てえええ!!
気温自体は関東とさして変わらんはずなのに、海風のせいか、体感がぜんぜん違うのな。
そりゃ肌も引き締まって小顔色白な美人になるわよね。
ご存知のように、新潟県の県庁所在地なのですが、旧来の城下町である上越や長岡に置かれなかったのはちょっと不思議だったのよ。
なんでも、置県に伴って13もの藩を統合したらしく、特定の領地に偏ることなく、経済や交通の利便を重視した結果、この新潟の地が選ばれたのかもな。
日本各地に米を積み出してきた大港町であり、横浜とともに安政五カ国条約にて開港した5港の1つです。
ちなみに現在の港湾取引額は全国11位なんだって。
万景峰号も久しく来ませんし、お米も陸路で輸送するようになり、北前船がブイブイいわせていた頃の存在感はとうに消えてしまったわけですが、県内の農業や工業を束ねる都市機能は残っているのでしょう。
昔建てたオークラや航空会社系のホテルはあるけど、外資は新たに手を出さないような、思い出をたぐる街です。
一方で、母なる信濃川の河口には高層マンションもチラホラできており、それなりに開発も動いている様子。
気を抜くと、半島から何やら上陸してきたり、中国総領事館に広大な土地を押さえられてしまう最前線の一つなので、市民の皆さんは緊張感もってふんばってほしいのです。
やたらとタワーを誇りたがる田舎気質よ!
地方都市あるあるで、メディアや金融機関、役所は、足元の寂びっぷりと乖離したKYビルを建てたがるのよね。
案の定、立派なのはガワだけで、すっかり持て余しているような状況でした。
上越新幹線の終点でもある新潟駅は、遅ればせながらの近代リニューアルが進行中です。
ただ、市民の足としては、鉄道よかバスの存在感が強い土地なのかもな?
駅が高架となり、南北を貫くことができた1階に、新しいバスターミナルも稼働しているのですが、JR駅部分も含め、客足を東西に分断する構造にはややめんどくささが残るかもな。
駅併設の商業施設である「CoCoLo」は、名産品や地場飲食街、日々の買い物需要にもしっかり対応しており、地域商業の核として、今後より大きな存在になっていくことは間違いなさそうです。
ちょうどグランドオープンのタイミングに訪れたのですが、市民の期待感と熱気が、ものスゲェんだわ!
JKたちが「ゴンチャに行こうっ!」って、泣きそうな笑顔で走っていったし、19年ぶりに帰ってきた「明治屋」ではジジババが買い物かごを山盛りにしてるし、とにかく大盛況。
飲食では「とんかつ太郎」の出店に驚きましたが、注目店を集めたラーメンコンプレックスも大人気でした。
新潟中心部は繁華街は主に3つの区域に分かれます。
新潟駅から10分ほど歩いた万代シティは「新潟交通」の本社跡を再開発した場所。
デパートとチェーンストア、ホテルをぺデデッキで繋ぐ昭和な風情の再開発が、新潟駅前ではなく、バスセンターを中核に形成されたのが面白いところで、ご土地の濃いバス文化を感じさせます。
しかし、ダイエーは消え、ジョイポリスも消え、新潟県内に唯一残った百貨店「新潟伊勢丹」も老朽して、おそらく、ここが新潟駅リニューアルの影響を最も強烈に受けるんじゃないか、というか、すでに皆が震え上がっている旨を小耳に挟みました。
街のシンボルである萬代橋は、お江戸日本橋に次いで、国の重要文化財に指定された橋梁。
単に信濃川を挟む地形の問題だけでなく、対岸の新潟湊は長岡藩領、手前の沼垂湊は新発田藩領として、バチバチやっていた歴史的経緯もあるようです。
橋を渡ると、古町の区域。
名前の通り、かつての新潟湊の繁栄を今につなぐ旧市街です。
この立派な通りも、実はだいぶ寂れた状況なのですが、街並みがこざっぱりと維持されているので、あんまり悲壮感は漂いません。
商店街も店舗はだいぶ歯抜けているのですが、やはり、みすぼらしく感じないのが特徴です。
ただ、核となる百貨店もとっくに撤退しているし、駅やバスセンターの徒歩圏外なのが、ネックなんだよなぁ。
この季節は山菜が豊富でさ。
こういうのは駅のスーパーではイマイチなので、こっちまで買いに来たいんだけどね。
往時、江戸、京に次ぐ、日本三大花街であったという地位を、長崎丸山と争っている新潟古町花街。
現在も芸妓が活動しているようで、すんげー立派な料亭が残っていたり、往時のジャブジャブな高景気の残り香も漂います。
新潟市もまた、漫画アニメのまちおこしに取り組んでいるようです。
ご当地ゆかりの有名作品があるのならまだしも、単に作家の出身地や居住地のくくりになると、もはや全国どこでも”マンガの街”を自称できそうだなと思ったりもするのよね。
鎌倉高校前駅前の踏切でキミが好きだと叫びたくなるかもしれんけど、福本伸行が生まれた横須賀はザワザワしてないじゃん!?
「新潟市マンガの家」はこじんまりした施設でしたが、世代的にはけっこう刺さるバエ展示も。
「古町通五番町商店街」には水島新司キャラクターが!
こちらもお客さんはガラガラなので、ただ銅像だけが異様な存在感を放っておりました。
かつてキッズたちが尻バット写真を拡散して、御大が大激怒してた事件現場はここだったのか!
白山神社へと至る「上古町商店街」
ここも店舗の密度は薄いので、どうしてもさみしい写真しか撮れないのですが、ところどころに、クラフトやファッションの若い試みが芽吹き、新潟カルチャーの最先端な雰囲気も漂います。
主に週末しか稼働しないユルめな雰囲気ですが、宝探し気分での散策もいいでしょう。
寺に囲まれた古い市場をリニューアルした「沼垂テラス商店街」
ガイドブックなどでも推されていた新スポットですが、こっちはカミフルよか洗練されてないかも。
新潟の総鎮守である「白山神社」
千数百年の歴史を持つといわれる古社であり、新潟の街づくりの起点にもなった場所です。
本来ならば新潟観光の核にもなってほしいところなのですが、周囲の環境が近代的なせいか、だいぶ印象が弱いのよね。
むしろ、かつての豪商の邸宅が見応えある観光スポットになってます。
廻船問屋等で財を成した「旧小澤家住宅」
新潟の典型的な町家の形態で、現存する中では最も古いものなんだって。
新潟三大財閥の一つであった齋藤家の迎賓館。
数寄屋造りの建物自体も贅沢ですが
ここは、お庭が素晴らしくてさ!
1階2階ともに、その景色を最大限に取り入れた造りが見事ですね。
近隣には「北方文化博物館新潟分館」「旧日本銀行新潟支店長役宅」なども公開されておりますが、だいぶキャラ被りでもあるので、とりあえず、どれか一箇所入るなら「旧齋藤家別邸」は必見です。
開港当時の姿のまま唯一現存する重文「旧新潟税関庁舎」を中心に、移築復元した「旧第四銀行住吉町支店」や2代目新潟市役所庁舎のデザインをもとに建てられた歴史博物館を併設する「みなとぴあ」
きっちり訓練されたエデュケーショナルなイルカショーや信濃川流域の展示が興味深い水族館「マリンピア日本海」を覗いたり
ひどい名前の農産テーマパーク「いくとぴあ食花」で、アルパカに餌をやったりして、食間の時間を潰しました。
それほど多くはない新潟市内の観光スポットも、徒歩で巡るのはしんどい距離感なのよ。
一応、巡回バスもあるのですが、本数も少ないし、一筆書きの一歩通行なので、行き来には不便。さらに、小さなバスへ地元の方々も乗り込みますから、メッチャクソ過密になります。
ほっつき歩きの観点からは、市街地からちょい離れた場所に、よりリアルな風景があるような気がしますね。
街中はひたすら平らなので、移動には電動自転車がベストでしょう。
幸い、ドコモのシェアサイクルが配備されているので、今回も便利に利用させてもらいました。
実際、観光目的のお客さんは多くはないようで、外部からの来訪者のことはあんまり考慮されていないような気もする新潟市。何泊もして観光を楽しめる場所ではないのかもな。
飼い主を2度も雪崩から助け出した忠犬タマ公が新潟各地で顕彰されています。
そして、2度も雪崩で死にかけた飼い主の刈田さんよ。
なぜか横須賀に像があるらしい。
おそらく上野のパンダの次ぐらいに笹を食ってるであろう新潟市民!
笹団子はたしかにお土産でもらうことの多い品でありましたが、本来は日持ちさせない食い物だったのかもしれませんね。
市内には朝に作って、早々に売り切る形の餅菓子屋が点在しており、市民生活にビッタリ密着している様子。これは完全ローカルな需要故、その狂気が外県人には漏れてなかった状況か。
いや、マヂで、私等の想像以上に笹団子食ってるぞ、あいつらは。
一応、五大ラーメン食ってみましたが、うーむ。
やはり、米か!!
ファストフード代わりのおにぎり店など、とにかく米を食わせたがる街であることも間違い無さそうです。
そして米がやたら旨いのよ!
そんな感じで、新潟編を始めさせていただきます。
最近はちょっと忙しいので、レポには1ヶ月以上かかりそうですが、お楽しみに~!
コメント一覧
やはり、バスセンターのカレー食ってますね笑。
そう、コメ美味いです。コシヒカリから新之助に移行してるのでしょうが、美味いっすね。
>つちころりさん
バスカレーもイタリアンも、他県民には容易に理解できないとこが、本当のローカル食文化なのかも。
自分も先週新潟(上越)行ってましたが、やっぱ米・水・酒が美味いんですよね
そんでもって魚もいいから寿司が美味いんですよね
>習志野ゴンザレスさん
今回はそこまで掘れなかったのですが、意外と町中華に渋店が多いような気がしますよ。
笹だんご美味しいですよね。私も子供のころから土産で頂いていました。
新潟土産も色々あると思いますが、菓子のジャンルにおいてあれを超えるものはまず出ないと思います。
>のあきちさん
圧倒的笹団子に隠れがちですが、良いお菓子屋さんがありますので、レポをご期待ください。
当地在住の老親の厳命により笹団子を各所に通販で手配したばかり。実店舗では作り立てのを送ってくれますので到着次第柔らかいのを頂く幸せよ。笹をバナナの皮むきのように一方から剥いて他方にまとめてバナナのように持って食べるので、老親は「笹離れ」がいいかどうかも店選びのポイントです。随分小さくなりましたが美味い。甘味といえば新津の「三色団子」も。上大岡京急の新潟物産展にも出店しますが、新幹線で着いて買い、戻りにまた買う。そしてすっごく小さくなったね、と毎回言いながら食べる。。。新潟レポ、楽しみにしてます~
>長くてごめんさん
笹離れ、実は難しいポイントでははないですか?
作りたてだとくっつきやすいし、水分抜けてくるとと固くもなるし、現地で自宅に持ち帰って午後のおやつに食べるくらいがベストなタイミングなのかもなと。
当方新潟出身の横浜市民です。
大昔は「なんでこっちはテレ東が見れないだ!アニメが見れないじゃないか!」
と怒っていましたw
バスカレーやイタリアン等の謎メシwを管理人さんがどのように評価するか楽しみにしています。
「一番の新潟グルメは米」という結論に落ち着くかもしれませんが。
>マジカルさん
感想UPしました。
日常の米食がうますぎるので、外食ではちょっと抜けたもんが好まれるとか?
元横浜市民、20年ぶりに現新潟県民です。恰幅さんが新潟に足を踏み入れてくれることを待ち望んでいましたが、遂にその日が!観光するところがないので他所から友人が遊びに来ると非常に困る・じゃあとりあえず何か食べさせておけばいいか…な新潟の食レポを楽しみにしております。
笹団子といえば父の友人のアラウンド80のおねえさまが手作りする笹団子(知人の持っている山に行って笹、スゲ、よもぎを収穫、もち米は親戚の田んぼから貰ったのを家でふかし、小豆は友人の畑で収穫したのを貰ってあんこ作り…と、砂糖以外は完全な地産地消型)が非常に美味しいのですが、昔はこうやって一から手作りする家庭が多かったそうです。購入するなら新潟市の市川屋、長岡市の江口だんごがお勧めです。
そして新潟の豆大福といえばえんどう豆ではなく青豆ということが多いのですが、恰幅さんは召し上がりましたでしょうか。
>白鳥ボートさん
うわー、オススメ聞いてから乗り込めばよかったなぁ。青豆大福食べ逃したわ。
当初は餅菓子の見当で探してみたのですが、むしろ団子生地の方がよく食べられてるのかなという印象です。
もしかしたら、都市食以上に田園郷土食が魅力的なのかも。
新潟県出身の横浜市民の自分。。。
「笹団子」
新潟に住んでた頃は現在90歳の母親が自ら作ってました。
原料は自家製のもち米・その辺の山で調達するヨモギと熊笹で、白鳥ボートさんが言う通り「砂糖以外は自家調達」でした。
(笹団子を縛るワラも当然自家製)
が、同じ村(自分が小学生の頃で25軒ほど)に住む母親のいとこが作る笹団子の方が断然美味かったですね。
母親のいとこは母親よりも15歳くらい年上でした。生きていれば100歳超えかぁ。
>てっつんさん
新潟食でずっと記憶に残ってるのは、お祭りの前夜に地元のをばちゃんが作ってくれた山菜料理各種と遊びに行ったお宅で出してくれたどぶろく。
おばあちゃんの笹団子もそうですが、そういうのは市街の飲食店じゃなかなか食えないのかもな。
笹団子、次の日になるとカチカチでおいしくないんですよね・・・短命
先日の京急百貨店の催事で魚沼産コシヒカリ買いましたが、
それでもだいぶ美味しいと思ったので(その前は神奈川のはるみを食べてました)
現地で食べるのはさぞおいしいだろうなーと思います
>匿名さん
全国で様々な新品種が生まれていますが、やはり新潟米は別格なのかも。
生産量が少ないこともあるのでしょうが、はるみはわりとバラつきがあるような気もします。
新潟は笹団子も確かに旨いけど、個人的には同じ笹系なら三角形のちまきの方が好きです。
中華のちまきと違って具も油も調味料も無いのに、妙に旨いんだよね。
それはそうと見出しが「女殺油地獄」のダジャレでちょっと笑っちゃいました。
>中さん
ああ、三角ちまきは買ってこなかったなぁ。
たしかに新潟ならではの食の一つか。