長崎奉行といえば、萬屋錦之介がバレバレなモーターボートに仁王立ちして、ドンブラドンブラと出撃する・・・ いや、ちげぇか、あれは深川の方か!
とにかく、豪商たちの巨大な利権と暴力が渦巻く江戸末期の長崎では、白日の法で裁けぬ悪をイカ頭巾の闇奉行が裁いていたのだから、みんなもよく覚えておいてほしいのです。

そんな長崎奉行所跡が「長崎歴史文化博物館」として整備されております。
正確にいうと、長崎奉行所立山役所の跡地なんだって。
長崎奉行所は初代が大火で消失した後に隣接地へ拡張して、東西2箇所の体制となりますが「父っつぁん、それじゃもろともに燃えかねねぇぜと」の懸念から、東役所の機能をこの立山へと移転させました。


館内には、お白州など当時の奉行所を復元したコーナーも。

長崎奉行は複数人体制で任にあたり、江戸と長崎を一年交代で行き来するシフトだったんだな。籠に乗ってた時代だから、移動だけでも一苦労じゃんか。
職務も街の統治や司法だけにとどまらず、外交や貿易、異教の取締や異国船の警備などなど多岐にわたって、大変苦労が多かったと遠山景晋役の風間杜夫も語っておりました。
いやいや、お前さん、それ以上に役得がとんでもなかったらしいな! いろんなとこから付け届けがあるし、検品みたいな名目で貿易品を格安購入して転売できたみたいだし。一度やると子孫まで食える役目だったらしいよ。

ちなみに長崎奉行所の裁判記録である「犯科帳」は実存しており、時代劇の作話にも使われているみたいです。館内でもややクセのある寸劇のビデオが流れておりましたわ。




施設的にはまだまだ綺麗だし、観光価値も十分な内容だけど、いかんせん、出島の方にも歴史博物館機能があるので、時間に余裕のない修学旅行だと、こっちはカットされちゃうのかな?
やっぱし、パラリとしかお客さんが見えませんでした。

歴博のすぐ近くにある「サント・ドミンゴ教会跡資料館」は江戸初期の教会遺構を展示した場所。
ちょうど小学校の建て替えの際に発掘されちゃったらしく、校舎の一部に見学スペースが整備されました。
石組みや縄張りなので地味っちゃ地味だし、裏の通用口みたいなとこから入っていくがマニアックすぎて、やっぱし誰も来ていませんな。

寺町の「興福寺」は中国僧、真円によって、日本で初めて建立された唐寺です。
二代目住職は眼鏡橋をかけた如定、三代目は漢画を日本に伝えた逸然、四代目は黄檗宗の開祖である隠元だというのだから、大変に由緒正しきお寺で、本来なら観光のメインを張れる場所。

国指定重要文化財の大雄法殿。
ニョキニョキ生えてるソテツがエキゾチックな風景ですね。









崇福寺に比べるとややコンパクトだけど、日本寺とは異なる意匠の文化財を数々有しており、旅情は満点なのです。
でも、やっぱり参拝客はパラリもいなくって、ほぼ貸し切り。
お寺の人があじさいの鉢植えを頑張って育てて、花寺っぽくもなってるんだけど、いやいや、そんなことなさらなくってもと恐縮しちゃうな。

いやまじで、鎌倉だったら、この季節、門の外まで行列してるところだよ!

諏訪ななかじゃない方の ”おすわさん” 「鎮西大社 諏訪神社」です。
デブは延々続く鳥居と階段に「まぢかよ・・・」とビビって、足がなかなか前に進みません。

こちらは”長崎くんち”の会場としても、有名ですよね。
アレは一度見てみたい! でも、私らが邪魔しちゃいけないような気もするの。
港の旦那たちがカステイラ箱にたんと黄金を詰めて賄賂にしてた時代はすでに遠い昔となって、盛大なお祭りを維持していくのも、しんどい苦労をされているような気がするんだよな。

け、景色はい・・・いけれど・・・
やは・・・り、坂の街で・・・生きていくのは・・・しんどい・・・な・・・




”海が荒れて、あの人が出港できずにもう一晩泊まってくれるように”と願をかけた故事がある願掛け狛犬や、”禁酒したい”などの止めごと成就の狛犬を含め、実に14種類が鎮座するという、狛犬天国でもあるようです。

港にある「長崎県美術館」は謎多き須磨コレクションをベースにしたスペイン美術が自慢。
「ナガサキ・アーバン・ルネッサンス2001」という再開発事業により、隣接する「長崎水辺の森公園」と共に新たな埋立地へ設置されたため、ギュッとせせこましい長崎の中では珍しい余裕のある環境です。




運河を挟んで、2棟をつなぐ構造。
見た目通りの隈建築ですが、けっこうかっこいいじゃん。
でも、やっぱし、誰もいないから、もったいないな。

そのお隣には県が誘致してきた旧AIG生命のビル。
中身はコールセンターらしいのだけど、長崎のオフィスの中では最も贅沢な環境かもしれませんね。
土地が狭いので、見どころがぎゅぎゅっと密集している長崎の街。
私も路面電車にはほとんど乗らず、もっぱら徒歩で観光したのだけど、アクセスの問題よか、むしろ滞在時間の制約で、せいぜい3つ4つの観光スポットを巡る程度になるのが普通なのかもな。
ド定番からちょっと外れると、価値ある場所も穴場程度の人出になってしまうのは、ありがたいのかもったいないのかよく分からんところでもあります。
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